九州医事新報社 - 地域医療・医療経営専門新聞社

地域包括ケア病棟協会 会長 仲井 培雄

地域包括ケア病棟協会 会長  仲井  培雄

 皆さまには謹んで新春のお喜びを申し上げます。

 さて2020年は、新型コロナウイルス感染症(以下COVID ―19)が猛威を振るい、パンデミックとなりました。皆さまにおかれましては、さまざまな困難を乗り越えながらこの難局に対応されていると思います。

 当協会では、地域包括ケア病棟(以下、地ケア病棟)とCOVID ―19対応に関する調査を、2020年10月に行いました。結果、2020年4〜5月は地ケア病棟を届け出ている病院の医業収益、外来収益、入院収益ともに大幅に減少しました。6〜9月は回復基調でしたが、上半期は2019年の医業収益を大きく下回っており、病院経営は大変な状況でした。

 このような中でも7割超の地ケア病棟を有する病院が、発熱外来を開設し、帰国者・接触者外来や診療・検査医療機関、協力医療機関、重点医療機関などの指定を受けていました。

 また、COVID―19患者と疑似症患者を受け入れた病院は4割強に上り、うち3割が地ケア病棟に無症状・軽症から中等症Ⅱまでの患者を直接受け入れていました。COVID―19既往症の患者にも1・5割強が対応し、うち半数弱が地ケア病棟に受け入れて懸命に医療崩壊から地域を守っていました。

 この間政府は、さまざまな医療提供体制確保などの支援を迅速に行いました。さらに昨年末には、回復患者の転院支援を含む COVID ―19対応医療機関などへのさらなる支援を決めました。一方、地域医療構想による公立公的医療機関の再編統合の再検証は立ち止まり、医療計画には新興感染症による一時的な医療ニーズ急増の処方箋も盛り込む方針となりました。

 COVID ―19を受け入れている医療機関には、これ以上の支援が必要な病院もいまだ多くあるため、随時解決策を求めつつ、まずは上記施策や方針に感謝して地域医療を守る勇気を奮い立たせたいと思います。

 2020年12月、英国が世界で初めてCOVID―19ワクチンの緊急使用を許可しました。日本は東京オリンピック開催を控え、3月にも一部の医療従事者や高齢者・基礎疾患を有する患者に先行接種する計画を立てています。ワクチンの普及には、アレルギーの報告やADEなどの不安材料がありますが、その未来に希望を持ちたいと思います。

 そして、地域包括ケアシステムや地域医療構想に寄り添うだけでなく、感染症に対してもレジリエンスの高い地ケア病棟を、皆さまと一緒に育てていきたいと思います。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

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