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【公開記事】「何かやりたい」から 一歩踏み出す

【公開記事】「何かやりたい」から 一歩踏み出す

 

 経営改善のために何かしたい、と思いつつ、日々の業務に追われていたという医療法人社団善衆会善衆会病院の宮下久美子氏。病院経営分析・改善活動支援サービス「Simpr」を活用し、「小さな改善」を実現した。宮下氏が改善に取り組む背景や、実際に感じていることは。

医療法人社団善衆会
善衆会病院 医療サポート課
課長 宮下 久美子 氏

2006年医療法人社団善衆会上毛泌尿器科記念善衆会病院(現:善衆会病院)入職。医事課、物品管理室、診療情報管理室、企画広報課を経て、2017年医療サポート課(医事・診療情報管理・医師補助)配属。2019年から医療サポート課課長。

善衆会病院(前橋市)
198床/整形外科、泌尿器科、内科、外科、麻酔科、リハビリテーション科

事務職の役割
「医療職の努力を収益につなげること」

 短大を卒業した2006年、「けがばかりしていた中学生時代にお世話になっていた病院で働きたい」と、医療法人社団善衆会上毛泌尿器科記念善衆会病院(現:善衆会病院)に応募し、入職した宮下氏。しかし、入職翌年、同病院の民事再生法適用を経験することになった。「当時は、何が起きて、どんな状況になっているのか全く分かりませんでしたが、この経験が、現在の私が『経営改善』の意識を持つ背景の一つになっていると感じています」

 経営層の交代、整形外科を中心とする診療体制への転換、そして収支を改善した上での16年の新築移転…。目まぐるしく状況が変わる中で、自身は診療情報管理や企画・広報などを経験。2人の子どもを育てながら、2年間の通信教育で診療情報管理士の資格を取得し、17年には、現在も所属する「医療サポート課」に配属された。同課は、医事と診療情報管理、医師事務作業補助などを全てまとめた部署。19年からは、課長という立場で、37人のスタッフのマネジメントと経営分析などを担当している。

 経営再建の軌跡を見る中で、「医療職の努力を適切に収益に結びつけることができるのが事務職だと感じるようになっていた」と語る宮下氏。入職時期も年齢も近い事務長をサポートしたいという思いもありながら、何から手をつけたら良いのか分からず、前に進めない状況が何年も続いていたという。 

 そんな中、知ったのが病院経営分析・改善活動支援サービス「Simpr」だった。



見える「小さな成果」が
自信と次の改善行動に

 「Simpr」は、ポイントを絞り、着実に収支を改善することをコンセプトとするサブスクリプション型サービス。月に1度、特定の診療報酬について算定状況を分析するツールが配布され、そのツールを活用すると、過去の算定状況や改善の可能性をレポートの状態で把握することができる。対象となる診療報酬は毎月変わるため、毎月一つずつ、「小さな改善」を積み重ねていけるのが特徴の一つだ。

 「経営改善に貢献したいけれど、どうしたらいいのか分からない、モヤモヤした状況から抜け出したくて」と、サービスの利用を始めた宮下氏。すると、ツールでの分析によって算定漏れの可能性が見つかった。

 「対象となる診療報酬が絞られていることからすべきことが明確で、行動や改善のイメージが持ちやすいと感じました」。すぐに院内の状況を把握し、対象の診療報酬が算定できることを確認。その上で、医療職や事務の他職種を巻き込み、算定要件の周知や算定漏れが起きない仕組みの構築を開始した。電子カルテのアプリを活用したモニタリングも始め、手間をかけずに算定漏れを抑止、発見できる仕組みが整備されつつある。「初月は9件、約2万円の増収につながりました。短期的に見れば少額ですが、算定漏れが1年、2年と続けば大きな差になります」。さらに改善を他の診療報酬でも実施することで、数十万、数百万と収支が改善できるイメージも持てるようになったという。

 宮下氏が感じたメリットは、収益面だけではなかった。実際の改善に当たっては、複数の部下が自ら手を挙げ、他職種への説明や仕組みの構築を担当してくれた。この成功体験が、部下の成長や、仕事のやりがい、手応えにつながっているのではないか。そんなことも感じるようになったという。

 同時に、Simprを通じて、他病院の事務担当者ら他ユーザーと交流できたことも魅力だったと宮下氏は語る。「院内での周知の方法やそもそもの算定の考え方など、ユーザーの皆さんからリアルな知見をいただけるのは、本当にありがたいことでした。さまざまな立場、経験の方からの情報一つ一つが、私にとって宝物。視野を広げ、見方を変えて、これからもさまざまな改善ができるのではないかと私自身そして部下が少し自信を持てるようになったことも、大きな収穫だと感じています」


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