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AIによる業務効率化で患者に優しい診療を

AIによる業務効率化で患者に優しい診療を


長堀 薫 病院長(ながほり・かおる)

1978年横浜市立大学医学部卒業。
山梨医科大学(現:山梨大学医学部)、横浜赤十字病院、横須賀共済病院副院長、
山梨県立中央病院外科科長などを経て、2014年から現職。

 110余年の長い歴史を持つ横須賀共済病院。740床を有する急性期病院として、地域医療を支えている。就任からさまざまな改革を進めてきた長堀薫病院長に、現在の状況と、「戦略的イノベーション創造プログラム」に採択されたAI(人工知能)を用いた取り組みについて話を聞いた。

─AIの活用に積極的です。

 「AIホスピタル」と題した、AIを用いた診療時記録の自動入力化、インフォームドコンセント時の双方向コミュケーションシステムの開発に取り組んでいます。
 
 この取り組みは2018年、内閣府による「戦略的イノベーション創造プログラム」に採択されました。公募のことを知ってからわずか2週間で、申請資料を準備しました。このとき採択された13件は大学病院やナショナルセンター、大手IT企業がほとんど。一般的な病院は当院だけです。
 
 今、多くの病院は高度化し、増大する医療ニーズに対応したくとも、労働力不足、働き方改革による時間外労働の規制など多くの問題を抱えています。これらの根本的な解決は「ヒトからAIへのタスクシフト」にあると考え、2022年度の完成を目指し、実証実験を開始したのです。
 
 AIを導入することは、日本の病院が抱えるさまざまな問題を解決します。まずは、病棟看護師の看護記録の自動入力化を推進。この自動入力システムを医師の外来診療にも導入すべく企業と共に取り組んでいます。
 
 現在は、音声認識システムを構築し、声紋からテキスト化を試みています。これによりスムーズなカルテの作成、膨大な書類業務から解放。同時に、医師や看護師は、患者さんの目や表情をしっかり見て診察ができるようになり、患者さんにもスタッフにも優しい病院が実現できるのです。

 「AIホスピタル」と名付けた事業は、きっと日本の医療を変える。そう信じて私たちは今、大きく第一歩を踏み出したところです。

─地域との連携は。

 105年には「ブランド推進室」を立ち上げました。実は、質の高い医療を提供し続けてきた実績はあるものの、どのような病院なのか、地域に浸透していない。職員も忙しさの中で、自分たちの病院の価値を認識できずにいました。

 そこで、「ブランド推進室」が中心となり、まず地域の病院へ、自分たちの病院についての情報を発信し、イベントなども開催しました。また病院長自ら開業医を1件ずつ訪問するなど顔が見える形で理解を求めていきました。

 さまざまな取り組みを始めた2015年ごろから、新規入院患者数は増加、一方で平均在院日数は減少。これは近隣医療機関との機能分化と連携を強化していった成果です。

 現在、横須賀・三浦地域や横浜南部の病院と当院とで協定を結び、スムーズな医療を提供する「地域医療連携協定病院」というシステムを確立しています。当院は急性期医療担当、協定を結んだ11の病院は慢性期・回復期を担当し、これは、地域全体の医療の質の向上にもつながっています。

─病院長就任から6年です。

 もともと副院長として勤務していた病院です。

 まずは、「断らない医療」を宣言し、小児科の問題を解決。職員への研修などを開始しました。ただし、理念など大きな枠組みをつくるのに、3年ほどかかったと思います。私自身も病院長としての経営マインドを学ぶ必要があると、MBA(経営学修士)やコーチングについて学び、さらには経営の模範となる病院をあちこち見学に行きました。

 それらの経験をもとに生まれたのが、「診療を支える経営の五つの柱」です。五つの柱とは「人材」「成長」「サービス」「経営」そして「インフラ」。この五つを確立するために、さまざまな方策を行い、その成果を今、実感してきているところです。

国家公務員共済組合連合会 横須賀共済病院
神奈川県横須賀市米が浜通1─16
☎046─822─2710(代表)
https://www.ykh.gr.jp/



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