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3病院と研究環境で地域医療に貢献する

3病院と研究環境で地域医療に貢献する

地方独立行政法人 静岡県立病院機構
理事長(たなか・いっせい)

1975年京都大学医学部卒業。
同大学院医学研究科臨床病態医科学助教授、
国家公務員共済組合連合会京阪奈病院(現:枚方公済病院)院長などを経て、
2014年から現職。静岡県立病院機構静岡県立総合病院長兼任。
2019年全国地方独立行政法人病院協議会会長。

 静岡県立病院機構の理事長である田中一成氏は、静岡県立総合病院を中心に、数々の改革を行ってきた。今後は研究環境の充実と医師不足の改善、医療面では「健康長寿」を大きなテーマに掲げている。

―特徴を教えてください。

 当機構は総合病院、こども病院、こころの医療センターの三つを運営し、各分野で、県内における高度・専門医療を提供しています。

 総合病院の特徴としては、救急医療、循環器医療、がん医療に力を入れており、中でも心臓血管外科と循環器内科が強み。こども病院は重症の心疾患に対する手術が特徴で、県外や海外からも患者さんを受け入れています。こころの医療センターでは24時間体制の精神科救急、在宅医療支援などを行っています。

 また、各病院間の連携も大きな特徴です。例えば、こども病院で先天性心疾患の手術を受けた患者さんが成人した際は、総合病院が血行動態などの情報を引き継いで診療に当たります。その他、総合病院にこころの医療センターから精神科の医師を派遣してもらい、院内の患者さんに対応するような取り組みもあります。

―地域医療の課題は

 静岡県の人口10万人当たりの勤務医数は全国的にかなり低く、医師不足が深刻です。県内に医学部がある大学は浜松医科大学しかなく、医師を育てる場所も限られています。

 このような状況で医師を確保するには、まず研究施設を整えることが重要と考え、総合病院に「リサーチサポートセンター」を開設。ここでは臨床や疫学研究に特化し、がん遺伝子解析などを行っています。2021年度には社会健康などを学べる「社会健康医学大学院大学」も開学予定です。これらの施設で、働きながら研究したい医師を静岡県に呼び込み、多くの人に定着してほしいと考えています。

―慶應義塾大学・同大学院と協定を結ばれました。

 静岡県出身のある医師がきっかけです。彼は県の医学奨学生で、慶大医学部を卒業後、当総合病院に勤務していました。再び母校に戻り、大学院へ進んだ際、教授に対して当総合病院で研究したいと要望。リサーチサポートセンターなどの各研究施設に魅力を感じていたようです。こうして話が進み始め、2020年1月に当機構と慶大医学部・同大学院医学研究科との連携協力に関する協定を締結しました。

 この協定により、当機構の医師はそのまま籍を置きながら、博士号を取得することが可能となりました。現状はスタートしたばかりで、目立った動きはありませんが、今後は制度を活用する若い医師が増えるだろうと思っています。

―今後の展望は。

 医師不足の改善は大きなテーマです。私としては、特に静岡県の中部・東部で働く医師を増やしていきたい。

 医療面では「健康長寿」に力を入れたいと考えています。言葉のイメージとして、対象は中高年のように感じてしまいますが、その取り組みは胎児の頃から始まります。今後は子どもから大人までつながった、健康長寿に関する医療・研究を進めたいと考えています。

 また、豪州では、聴覚障害児に対する人工内耳手術後の療育を科学的・体系的に行うことで健常者と同じ大学進学率となることが判明しています。機構では、この療育体制を日本に適した状態で構築し、聴覚障害児も健全な生活ができるように取り組んでいます。

 さらに、その研究の視野を世界に広げることも重要です。当総合病院は中国の浙江省にある病院と交流があり、研究協定などを結んでいます。今後は東アジア全体で少子高齢化が進み、それに伴う医療上の問題も浮上するでしょう。そのような状況になった場合、健康長寿をどのように維持するのか。中国との交流を中心としながら、研究を続けたいと思います。

地方独立行政法人 静岡県立病院機構
静岡市葵区北安東4―27―1
☎054―200―1610(本部事務部)
http://www.shizuoka-pho.jp/

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