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3月 新センターが始動 心身の障害に必要な支援を

3月 新センターが始動 心身の障害に必要な支援を

 吉田 太 院長(よしだ・ふとし)
1982年名古屋大学医学部卒業。公立陶生病院、
愛知県心身障害者コロニー(現:)中央病院副院長などを経て、
2016年から現職。


 3月、春日井市に「愛知県医療療育総合センター」(旧:愛知県心身障害者コロニー)がオープンした。同センター中央病院の吉田太院長は「専門的な医療の提供はもちろん、障害者医療に関わる人材の育成やセーフティーネットの役割も果たしたい」と話す。

―センター開設の背景は。

 2002年の障害者基本計画策定、2005年の障害者自立支援法の制定によって、流れは以前の「施設福祉」から「地域の障害者を地域で支える」という考え方へと変わりました。

 コロニーに求められる役割も変化する中で、2007年に定めた「コロニー再編計画」に基づく各施設の再編、中央病院の建て替えなどが動き始めました。中央病院を軸とする「医療支援部門」、発達障害研究所による「研究部門」、福祉型障害児入所施設・はるひ台学園などを含む「療育支援部門」の三つの組織に機能を集約しました。

 従来から内科系、外科系、精神科の「いずれの領域においても障害者医療に関わる質の高い医療を提供する」ことを重視した病院づくりを進めてきました。方針は今後も変わりません。

 新病院の4階は「身体のケア」フロア。手術室や内科・外科病棟、HCUを設置しました。効率的な動線を意識した設計です。

 3階フロアには精神科関連の二つの病棟と外来部門を集約。2018年4月にあいち小児保健医療総合センターから移管された小児心療科部門と従来のコロニー中央病院の児童精神科部門が担当し、新センター内の療育支援センターとも協力して発達障害医療の拠点の役割を担います。同フロアには屋上広場を設け、軽めの運動やレクリエーションなどにも活用します。

―今後は。

 小児科系部門では、小児内科の一部だった「遺伝診療部」を独立した部門として運営。近隣の医療機関とも連携を図り、遺伝カウンセリングなどにも力を入れていきたいと思います。

 「在宅医療支援部」は小児神経疾患の在宅生活を支援。訪問診療ではなく、何か問題が起きた際に入院していただき治療します。

 患者さんのご家族の体調不良や冠婚葬祭など、さまざまな事情によるショートステイにも対応します。従来の「こばと学園」は「こばと病棟」として病床数は変わらずに存続。「重症心身障害児(者)診療部」を中心に中央病院として診ていくことになります。

 リハビリテーション部門の一層の強化をイメージしています。この領域は、まだまだ担い手が足りていないのが現状。小児・障害児(者)の専門的なリハビリの実施と共に、人材育成の場として実績を重ねていけたらと思っています。

 当院はいわゆる小児病院とは違い「ライフステージを通して寄り添う」ことが求められます。小児期に発症し、高齢化が進んでいく障害のある方にどのように向き合うか、しっかりと考える必要があります。

 当院だけですべての疾患に対応できないので、急性期医療やがん、生活習慣病といった疾患については他の医療機関の協力が欠かせません。一方で基礎疾患に関わる専門的な対応は当院の重要な役割です。

 自閉症スペクトラムなどの発達障害がある場合、声の掛け方、検査、治療に協力してもらうために気を付けることなど、知っておくべきさまざまなポイントがあります。院外の医療者への発信を目的に、当院が主催する講演会などの活動も展開しています。

 患者さんたちの中には「つらい」「痛い」といった気持ちを、うまく表現できない方も多いのです。そうした思いもくみ取った医療の実践が大切だと考えます。

 幸い当院には、これまで諸先輩たちが培った障害医療に関わる多くのノウハウ、カルチャーといったものがあると自負しています。それらを大切に受け継ぎながら、21世紀に見合った新しい組織を目指していきたいと思います。

愛知県医療療育総合センター中央病院
愛知県春日井市神屋町713─8
☎0568─88─0811(代表)
https://www.pref.aichi.jp/addc/

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