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2040年を見据えた医療 災害医療の課題に取り組む

2040年を見据えた医療 災害医療の課題に取り組む

一般社団法人 東京都病院協会 
猪口 正孝 会長(いのくち・まさたか)

1984年日本医科大学医学部卒業。
日本医科大学外科学第二教室を経て、2019年から現職。
医療法人社団直和会平成立石病院理事長、
社会医療法人社団正志会南町田病院理事長、
東京都医師会副会長兼任。

 六つの病院団体の東京支部を代表する窓口団体として東京都病院協会(都病協)は設立された。現在、組織率は55%に上る。設立から21年目に入った2019年6月、猪口正孝氏が会長に就任した。課題は「2040年を見据えた医療提供体制構築」と「災害医療」だと話す。

―就任の抱負は。

 都病協を東京都の病院の窓口団体にしたいという先輩方の取り組みが結実したこと、そして、東京都医師会の理事に私を含む3人が選任され、都の医療行政に対し、病院機能の視点からの発言が持続的に届くようになったことで、東京都・東京都医師会・都病協の3者間に非常に良い関係が築けていると感じています。

 今、厚生労働省は2040年の医療提供体制の構築に向けて、地域医療構想、、医師偏在対策を推進しており、私たちは激動の中にいます。何が正解かは難しいですが、東京都の病院が望まない方向に進むことがないようにしていきたい。そのためにも、会長として3者の良い関係性を維持できるよう努めていきます。

 病院と診療所を比較すると、施設数は圧倒的に診療所が多いですが、入院や手術をするのは病院ですし、実は医師や看護師の数、医療費をみると、3分の2を病院が占めていることがデータで明らかになっています。つまり医療全体の3分の2に対して、都病協が責任をもっていることを再認識し、その役割をしっかりと果たしていきたいと考えています。

―都病協会長・病院経営者としての課題は。

 2040年になると、80歳以上がさらに増えます。2040年の医療提供体制がどのような方向に進むのかを注視しているところです。

 高齢者の医療ニーズはさらに高まるものの、総人口の減少によって病床数は減っていきます。求められる医療は「急性期」から「・慢性期」に移るでしょう。この変化に対して、病床の整理・転換が求められるわけですが、病院経営は診療報酬に大きく左右されます。経営が悪化する病院が出ないとも限らず、これはあってはならないことだと考えます。また、地域医療の本質とは何かを念頭におき、役割分担を考えていくことが必要でしょう。

 働き方改革では、個人の効率性を上げることが求められていますが、効率性が本当に上げられるのか疑問です。効率化によって9割以上の民間病院で、非常に厳しい状況を生み出す可能性があります。民間病院が機能不全に陥らないようにしていかないといけません。

 医師の偏在対策では、偏在を是正することによって、病院にたくさんのドクターが残るような仕組みをつくっていくべきだと考えています。

―災害医療について。

 災害に強い病院にするためには「耐震構造」と「電気の維持機能」を有することが非常に大切です。実は東京都は水害に弱い地形をしており、洪水が起きれば、4割が水没の可能性があるとされています。自家発電装置や非常電源を持ち、浸水や水没時にも病院機能を維持できるようにすべきです。これは社会的なインフラ整備に関わることでもあるため、都病協としては都に提言をしています。

 都病協では取り組みもはじめました。水没までにはある程度の時間があるとはいえ、ベッドに寝ている入院患者の避難は簡単なことではありません。災害支援チームをつくる他、災害時に地域の病院で互いにどのように助け合っていくかなどを考えています。

 就任に当たって、「リーダーシップ」よりも、仲間と同じ場所に立って方向づけていく「キャプテンシー」を大切にしたいと思っています。

 「見えない未来」より、数年先の「見える未来」をしっかり見据えて自ら行動し、そして、仲間と一体となって取り組んでいきます。

一般社団法人 東京都病院協会
東京都千代田区神田駿河台2―5東京都医師会館404号
☎03―5217―0896(代表)
http://www.tmha.net/

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