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1年間、耕してきた畑に新しい種をまいていきたい

1年間、耕してきた畑に新しい種をまいていきたい

熊本大学大学院生命科学研究部 整形外科学講座
教授(みやもと・たけし)
1994年熊本大学医学部卒業。同附属病院整形外科、
慶應義塾大学医学部整形外科特任准教授、東京大学医学部整形外科客員研究員などを経て、
2019年から現職。慶應義塾大学医学部整形外科学先進運動器疾患治療学Ⅱ特任教授兼任。

 熊本大学大学院生命科学研究部整形外科学講座に着任し、2020年4月でちょうど1年を迎える宮本健史教授。東京から17年ぶりに戻ってきたこの1年を振り返るとともに、新たな取り組みについて話を聞いた。

―教授としての1年間は。

 出身は熊本大学なのですが、2002年から東京で活動していました。2019年に戻ってきて、教授として大学の医局はもちろん県内の関連病院、開業医のもとへあいさつに回りました。初めてお目にかかる方も多くいたのですが、地域が抱えている問題や、現在、お考えになっていることなど、さまざまな意見、要望を聞くことができました。

 熊本県内では、多くの熊本大学整形外科の同門の先生方が活躍されています。同門の医師が熊本大学の教授に就いたということを、とても喜んでくださっていると、実感しました。

 地域の関連病院の人事担当の方にお聞きすると、医師本人のことよりも、お子さんの教育環境や親ごさんの介護といったご家族の都合で、「この地を離れたい」、あるいは「ここに定着したい」というご希望が意外に多く、驚いています。

 医師の人事というものはとても難しく、要望を伝えられずに、黙々と頑張っていらっしゃる先生にも目を向けていかなければなりません。医師の公平で適正な配置については、地域の皆さんと一緒に考えるべき問題だと思います。私はその調整役としての責務を果たしていきたいと思います。

―医局の運営について。

 17年間といっても、たかが17年。人もそうですが、整形外科という医療領域の中では、そう大きく変わるものではありません。さらに、医療レベルも、地域格差はないと感じています。

 ただし、医療技術は、日々進化しています。例えば手術ナビゲーションシステムの採用といったことも、今後の整形外科では考えなければならないでしょう。ただし、ミーハー的に新しい技術に飛びつくわけではありません。その技術が既存のものと比べ、本当に良いものかどうかを検証していく必要があります。その上で、患者さんをご紹介いただく地域の関連病院や開業医の先生方にフィードバックし、理解していただく必要があると感じています。

 一方、大学病院には果たすべき使命があります。合併症の患者さんや骨軟部腫瘍といったほかの施設では扱うことができない悪性腫瘍など、重篤な患者さんを受け入れていかなければなりません。その使命を果たすためには、高い医療技術を持った、ほかの診療科とのネットワークが必要になります。ほかの診療科と連携して、難しい症例の手術に対応できる体制を整えることも、私が果たすべき役割の一つだと感じています。

―就任前の1年間、教授が不在でした。

 実は、前任の教授の退官や教授不在などがあり、しばらく当講座では大学院生を受け入れていませんでした。これからは、大学院生を積極的に受け入れ、研究などに取り組み、中心的な役割を担ってもらいたいと考えています。

 本人たちの勉強になるのはもちろん、医局スタッフも指導をする役割が与えられることで、医局全体のレベルアップにつながります。数年後には学会や論文発表など、熊本大学から外部へ、発信力を高めていきたいと思います。

―新しい取り組みも始められています。

 2019年に取り組み始めたことがあります。現在の専門研修プログラムでは、医師は大学内だけでなく、地域の関連施設でも指導を受けるようになっています。


 そこで、次年度から専攻医として、熊本県内の関連施設に加えて、関東など県外の医療機関と連携し、研修を受けることができるプログラムをつくりました。すでに希望者も募り、4月から関東の施設に行くことも決定しています。

 東京の大学病院にいたころ、地方にいる優秀な人材を、なぜもっと活用しないのだろうかと感じたことがありました。

 外の景色を見ているからこそ、見えてきたものがあります。どちらかが良いということではなく、熊本の良さとほかの地域の良さを融合させるようなことができないか。どちらも経験している私のような人間が、もっと自ら発信していかなければならないと、この1年、実感してきました。そこで、考えたのがこのプログラムです。

 もっと熊本ができることを伝えたい思いもあります。関東の医療機関と熊本の人材との連携づくりに、ぜひ一役買っていきたいと思っています。

―1年たって、いよいよ本格的に始動ですね。

 就任からの1年間、しっかり時間をかけて畑を耕してきました。次年度からは、少しずつ種をまいていく時期だと思います。

 地域の中での連携、関東との連携、大学としての研究の拡充、医局員や大学院生の育成など、種をどのようにまいていくか。熊本市内、天草、水俣、人吉、さらには福岡県の大牟田市まで回って、期待の大きさを感じています。また、多くの病院から、「麻酔科医が不足して手術ができない」といった現状も聞くことができました。17年というブランクを埋めつつ、そのみなさんの期待を裏切らないよう気を引き締めて、取り組んでいきたいと思います。


熊本市中央区本荘1―1―1
☎096―344―2111(代表)
http://kumadai-seikei.com/

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