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黒字経営化を経て念願の新病棟が完成

黒字経営化を経て念願の新病棟が完成

独立行政法人国立病院機構
東京都武蔵村山市学園2—37—1  ☎042—561—1221(代表)
http://www.murayama-hosp.jp/

 1941年に陸軍病院として開設以来、国立病院機構村山医療センターはその歴史を刻んできた。脊髄損傷、骨・運動器疾患の分野において高度かつ専門的な医療を提供しており、全国から多くの患者が来院している。2019年3月に新病棟を完成させ、新たなスタートを切った村山医療センターの朝妻孝仁院長に話を聞いた。

◎経営改善を図り新病棟建設へ

 開設以来、骨・運動器疾患、すなわち整形外科およびリハビリテーション科を軸として診療を行ってきた村山医療センター。最新機器も積極的に導入し、最先端の治療を提供してきた。

 しかし、病棟は築50年以上にもなる。「設備の老朽化は患者さんにとってデメリットばかりです。新病棟建設は私の赴任以前から職員全員の願い。最優先の改善事項と思い、実現に向け、やるべきことを明確化しました」と朝妻院長。

 まず取り組んだのは、経営の安定。国立病院機構本部から、新病棟建設は当時の経営状況ではとても無理と指摘を受けた。そこで、具体的な数字を試算し、目標値を設定。入院患者数を増やす努力をした。

 「独自のルートで医師も集めることができました。いい人材が集まると、互いに切磋琢磨(せっさたくま)してよりレベルが上がる。おかげで手術件数も増え、黒字経営へ転換するきっかけになったと思います」

 スタッフ一丸となって経営状況を好転させることに成功し、新病棟建設の承認が出た。完成までは約4年を要したものの、予想よりも早い道のりだったと振り返る。

◎個室を増やしたことで利用率が上昇

患者やその家族がくつろげるよう十分な空間を確保した各階デイルームのための空間

 コンセプトは「快適な療養環境の提供とプライバシーの重視」だ。「当院の特性として、患者さんは身体的に不自由な方が多いです。車椅子や歩行器での移動がスムーズに行えるよう、廊下の幅を従来の約2倍に。トイレ、浴室およびベッド周囲にも十分なスペースを確保しました」

 主に脊髄損傷の患者が入院する4人床には、各病室に特別な空調装置を設置。脊髄損傷の患者は動くことができないため、排泄(はいせつ)をベッド上で行うという。その際に問題となるにおいの問題を解決するための装置となっている。

 「個室数も従来は19室でしたが、新病棟では63室と大幅に増やしました。個室利用率は去年まで70%だったため、個室が埋まるか心配でした。現在、利用率は90%を超えており、個室から埋まる時もあるほどです」

 新しい回復期リハビリテーション病棟のデイルームでは、すべての患者が車椅子で集まって食事を取ることができるようになった。一般の病院のデイルームの2〜3倍の広さを確保している。患者が快適な入院生活を送ることができる工夫が、随所に見受けられる。

 「高度な耐震性も確保しています。さらに、旧病棟は一部を残し、災害に備えての食料備蓄倉庫や器具の保管場所として、しばらく利用する予定です」

◎全国から患者が訪れる病院に

 患者は病院近辺、西多摩地区からはもちろん、山梨県、長野県、新潟県、遠くは沖縄県からと、広範囲から訪れている。

 「地域医療、地域包括ケアシステムを整える。基本的なことは踏まえた上で、当院の強みでもある脊椎脊髄の分野において、その専門性を生かし、全国から患者さんが訪れる病院にしたいと思っています」

 次なる課題は1960年代に建てられ、同じく老朽化が問題となっている外来棟の新設。昔ながらの狭い廊下、動線の悪さなど、問題は山積みだ。

 「今後とも地域に貢献できる病院であるために、新病棟という整った環境の下で、政策医療と地域医療のより一層の充実を図っていきたいと思います」


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