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麻酔科の発展から組織運営まで 挑戦し続ける人生

麻酔科の発展から組織運営まで 挑戦し続ける人生

愛知医科大学病院
藤原 祥裕 病院長(ふじわら・よしひろ)

1987年名古屋大学医学部卒業。
米ジョンズ・ホプキンズ大学医学部麻酔科留学、
名古屋第一赤十字病院麻酔科副部長などを経て、2005年愛知医科大学入職、
2019年から現職。愛知医科大学麻酔科学講座教授。

 愛知県唯一の高度救命救急センターである愛知医科大学病院。さらに、地域がん診療連携拠点病院、がんゲノム医療連携病院でもある。エリアの要としての存在意義をより高めたい—。それが新しく就任した藤原祥裕病院長のひたむきな思いだ。

麻酔科医は理詰めで考えられるところが面白い

 育ったのはごく普通の家庭。無縁だった医師の世界を垣間見たのは、高校1年生の時に見た医療ドラマだった。 

 やがて大学進学に向けた受験に突入。医者になりたいというよりも、ゲームのように攻略法を考え、実行する面白さにはまり、その結果、名古屋大学医学部へ。入学すると、その情熱は競技スキーへ傾けられる。「授業よりも部活。年間80日は合宿へ行っていました」と振り返る。

 「自分は成り行きで医学部に入ったようなもの。患者さんと直接関わるよりも、医師をサポートしながら貢献できる分野の方が向いているのでは」と考え、麻酔科の道へ。携わってみると、血圧を上げたり、下げたり、早いときは1分単位で結果が見える。生理学や薬理学の知識がそのまま応用できるなど魅力は多かった。「医学はサイエンスだけで成り立つものではないが、麻酔科は理詰めで考えられる。そこは性に合っていたと思います」

病院経営へ第2の人生がスタート

 その後は、超音波ガイド下神経ブロックの早期導入や周術期医療の推進などに従事。麻酔科の発展に尽力してきた。だが、麻酔科医を取り囲む環境は依然厳しいと感じている。

 「この地域では麻酔科医が不足している状況が続いています。麻酔科医は外科医のサポートや調整、緊急手術の対応など、大変な部分も多い。その負担をどう改善するか」。人材育成のためにも、麻酔科医の役割を正しく認識してもらうための努力は重要だと話す。

 仕事にやりがいを見いだすのが難しい時期もあったが、ターニングポイントとなったのは愛知医科大学への入職。前教授のもと、研究や教育に携わりながら病院経営や医局運営について経験を積むことができた。

 麻酔科、ひいては病院を組織運営の視点からより良くすることはできないだろうか—。再び見いだした目標実現のため、ビジネスについて学び直すことを決意。教授就任の1年後には、MBA(経営学修士)を取得した。

変化し続けることを恐れない

 病院とは、医師を筆頭に看護師、薬剤師、技師などがそれぞれの主観で動く一面がある。「ゴールをクリアにし、常識にとらわれず、目標を達成するにはどうすればいいのか、悩みました」

 目標値を現場に根付かせるには。診療科ごとの問題点を改善するには。医師の意欲向上にどう関わるべきか。「コミュニケーションをより密にすることが第一ですが、それぞれの立場の権限と責任を、もう少し明確にする必要もあると思っています」

 さらには、医療安全も課題だ。4月からは医療安全管理の室長に専従の教授が就いた。「大変な仕事ですが、スタッフ全員が真摯(しんし)に取り組んでいます。対策の推進力が高まりました」

 職員が快適に働ける職場づくりと、経営のさらなる健全化も責務。「すべてを実現するには効率化が重要。少ない労力でより大きいアウトプットを生み出す、言うのは簡単ですが実行はまだまだです」

 大きな問題はないものの、課題はいくつもある。変わるチャンスを逃すのは惜しい。自分に希望を与えてくれた病院に恩返ししたい—。「だから少しずつでも挑戦していきたい。いつか愛知医科大学病院はさらに良くなったね、と評価してくれたら本望です」

愛知医科大学病院
愛知県長久手市岩作雁又1—1 ☎0561—62—3311(代表)
https://www.aichi-med-u.ac.jp/hospital/

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