九州医事新報社 - 地域医療・医療経営専門新聞社

鶴見大学歯学部附属病院 病院長 五味 一博

鶴見大学歯学部附属病院 病院長  五味  一博

 新年明けましておめでとうございます。2020年は新型コロナウイルス感染拡大に伴い、4月、5月には緊急事態宣言が発令され、開院以来、初めての長期にわたる休診をやむなく行うこととなり、患者さんには大変なご不便をおかけいたしました。

 この間、新型コロナウイルス感染対策委員会を立ち上げ、感染対策に万全を期してまいりました。歯科治療はエアロゾルを発生させる治療が多いことから、その対応として口腔外バキュームの増設、院内換気の徹底、患者さんやスタッフの動線の確保など院内におけるクラスター発生を防ぐためにできうる限りの対策を講じてまいりました。

 おかげをもちまして本院においては、感染者を一人も出すことなく、現在まで診療を行うことができております。これは本院スタッフの努力だけでなく患者さんのご協力のたまものと感謝いたしております。2021年は、昨年以上に感染対策を徹底し、開放型病院、地域歯科診療支援病院としての職責を果たすとともに、地域歯科医師会および地域医療機関と連携し、3次医療機関として安心安全かつ高度な医療の提供に努めていく所存です。

 また、2020年度設置した地域医療連携室を窓口として訪問歯科診療、全麻下日帰り歯科治療さらに周術期口腔機能管理に関わる相談ならびに予約を一本化するシステムの構築をいたしましたので運用を始めたいと思います。

 超高齢社会を迎えた現在では、医療の目的は疾患の治療のみならず、健康で快適な生活を送るために、小児期から高齢者にわたる、あらゆる年齢層における口腔の健康管理、および口腔の機能維持が求められるようになっています。

 また、歯科疾患、特に歯周病が糖尿病、閉塞性動脈疾患、誤嚥性肺炎など全身に大きな影響を与えることが示されるようになり、歯科医療の果たす役割はますます重要となっています。そのために必要な医療機器ならびに医療技術の充実に努め、患者さんに良質な医療を提供していきたいと思います。

 歯学部附属病院である当院は、医育機関でもありますことから、本学の建学の精神「大覚円成、報恩行持」に基づいた教育に従い、歯学部学生や臨床研修歯科医の教育に当たっております。すなわち人として自己を高め、高い職業倫理と歯科技術を備え、多様な職種と協働し、社会に貢献できる歯科医師を輩出できるように取り組んでいく所存です。

 一日も早い新型コロナ感染の収束を期待するとともに、本年におきましても一層のご支援を心よりお願い申し上げます。

記事に関する感想・コメントはこちらから

このフォームに入力するには、ブラウザーで JavaScript を有効にしてください。
名前
メニューを閉じる