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鳥大方式に磨きをかけチャレンジ魂を次世代に

鳥大方式に磨きをかけチャレンジ魂を次世代に


教授(なかむら・ひろしげ)

1984年鳥取大学医学部卒業。鳥取県立中央病院、米ワシントン州立大学留学、
鳥取大学医学部附属病院胸部外科准教授などを経て、2013年から現職。

 2010年に内視鏡手術支援ロボット「ダビンチ」を導入、翌11年には低侵襲外科センターを設置した鳥取大学医学部附属病院。2019年6月、ロボット手術が1000例に到達した。第4代センター長を務める中村廣繁教授に鳥大ならではの強みと今後について聞いた。

―節目の1000例を達成した心境を。

 2010年のダビンチ導入から9年、チーム一丸となって取り組んできた結果ですので、非常に感慨深いものがあります。500例達成は2015年のことでした。保険適用が進んだ2018年以降、爆発的に増加しています。以前は泌尿器科がほとんどでしたが、今では全診療科で件数も増えてきました。

 センター設置がきっかけで「鳥大方式」と言えるやり方も育まれています。従来、科ごとに高い壁があるのが普通でしたが、鳥大は垣根を取り外しました。術式や術者の認定制度を採用し、他の診療科が担当する手術中止基準を設けています。

 科を超えて一堂に会する合同カンファレンスも必ず月2回開催しており、もうすぐ200回になるところです。これは技術交流というメリットもありますが、透明性を担保しているという側面もあります。

 手術方式や機器などわれわれは先進医療において開発もしてきました。そして、これをどんどん発信。「比類なき透明性」と評価をいただくほどに全てを公開してきた自負があります。

 9月には1000例達成記念の体験セミナーや講演会を開催。市民の方々にも実際に先進機器に触れていただきました。今後も情報を共有することで安全性が高まるという信念で情報発信を続けていきたいと考えています。

―山陰の胸部外科医療の現状は。

 われわれの胸部外科は、男性に多い肺がんと女性に多い乳がんの二つのがん治療がメインです。山陰でもこの二つのがんの死亡率が高く、治療成績の向上がわれわれの使命だと捉えています。

 近年では大阪など遠方から患者さんがいらっしゃることもあります。医局員と関連病院も協力し合ってきた賜物(たまもの)です。

 外科を希望する若手は減少傾向にあり、その若手を一人前に育てなければなりません。山陰で育つとどうしても外に出なければ先進の医療を学べないのでは、と考えがちです。決してそうではありません。

 低侵襲外科センターではロボットから内視鏡カテーテルにも波及するなど、常にここが最先端であるように時代を先取っていますので、東京や大阪といった都市部に行かなくても問題なく学べることをアピールしていきたいですね。

―今後の展望を。

 低侵襲外科センターに関しては、これまでは教授陣がリーダーシップを取ってプロジェクトを推進してきました。われわれを第1世代と考えると、そろそろ第2世代にバトンタッチしなければなりません。次世代を担う若手にモチベーションを高く持ってもらうため、交流を促しています。

 泌尿器科や女性診療科の医師を対象とした「骨盤外科ローテーション研修」はその一つ。診療科をローテーションすることで気付きや交流が生まれています。海外研修にも積極的に参加するよう促しています。

 われわれの合言葉は「チャレンジ」。同門会も「チャレンジ会」という名前にしているほどです。もちろん、無謀な挑戦を期待しているわけではありません。チャレンジするからには、しっかりした準備が必要です。受け身の姿勢から脱却することが大事なのです。

 ロボット支援手術に関する保険が12術式に適応されるとともに、第4世代の手術支援ロボットも導入するなど、状況は刻々と変化し続けています。変わることを恐れないチャレンジ精神は今後、さらに求められていくのではないでしょうか。

鳥取大学医学部 器官制御外科学講座 胸部外科学分野
鳥取県米子市西町36-1
☎0859─33─1111(代表)
https://www.med.tottori-u.ac.jp/thoracicsurg/

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