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高齢化進む秋田から総合診療医の重要性発信

高齢化進む秋田から総合診療医の重要性発信


センター長(みなみや・よしひろ)

1986年秋田大学医学部卒業。
米コロンビア大学留学などを経て、2021年から現職。
秋田大学大学院医学系研究科医学専攻腫瘍制御医学系胸部外科学講座教授、
同大学副学長、同大学医学部附属病院長兼任。

 秋田大学医学部附属病院に2月、「総合診療医センター」が開設された。高齢化率、人口減少率が共に全国トップで医師の偏在も顕著な秋田県。「ゼネラルなスペシャリスト」を育てることで現状打破を目指しているセンター長の南谷佳弘氏に話を聞いた。

─センター開設の背景は。

 秋田県は高齢化が全国で最も進んでいます。2018年の高齢化率は36・4%で全国最高となっており、2045年には50・1%になると推計されています。人口減少率も19年の統計で1・48%と全国トップ。また、同年の医師偏在指標が示す都道府県別の医師の充足度は41位。「医師少数県」とされていて、県内でも地域によって偏在が顕著な状況が続いています。

 こうした状況を打破するためには、従来の育成システムを抜本的に変革することが必要です。以前から県内の複数の病院長と協議する中で、総合診療医を育成していかなければならないと強く感じていました。

 厚生労働省医政局の佐々木健・医事課長(当時)が地域医療構想について県内で講演した際、総合診療医の必要性についてもディスカッションを行いました。その中で、秋田県の人口規模では全ての病院に内科系の専門医を派遣するのは現実的ではなく、細かなスペシャリストより全体を診る総合診療医を育てる方が実情に沿っているのではないかという話をしたことが印象に残っています。

 実際に当大学から内科系の細分化した専門医が地域の病院に赴任しても、実際には総合内科的な診療がメインになっているという声も現場から聞きます。今後高齢化が進むと、複数の病気を発症している患者さんに接する機会も増えていくことが予想されます。将来的には幅広い領域の疾患を総合的に診ることができる総合診療医が秋田の医療ニーズを満たすのではないかと考え、医師の養成、確保の拠点としてセンターを開設することにしました。

─センターの機能は。

 私や副センター長のほか、指導医の資格を持つ4人の医師が所属しています。今後は、日本海側の東北地域にある総合診療の研修施設とネットワークを構築し、県境を越えて研修を展開する予定です。学生だけではなく、地域の医師のために学び直しができる場も提供し、週1回かそれ以上の頻度で指導することを想定しています。

 大学入試の際、受験生の多くは「総合診療医になりたい」と希望しますが、卒業する時期になると「臓器に特化した専門医になりたい」と志望が変わることも少なくありません。そうなる理由の一つには、実習の中で総合診療医の働きぶりを見てもらう場面が極めて限定的であることが考えられます。志望が変わることは全く問題ありませんが、医学を志した初心を持続させる仕組みも必要で、そのためには卒前の教育を充実させなければいけません。

 もちろん、特定の臓器に特化した専門医も必要です。全員を狭い意味の「専門的な総合診療医」に育成するのではなく、総合診療の能力を持つ内科医や救急医の育成など広範にわたる養成も担っていきます。

─今後の展望は。

 地域の医療を守っていくためには、総合診療医の存在は欠かせません。力のある医師をしっかりと育て、秋田市だけに集中させるのではなく、県内の各地域に定着させて、秋田全体の医療を守ることが大切です。

 厚労省から、20年度の「総合的な診療能力を持つ医師の養成推進事業実施団体」に選定されました。選ばれた大学は少数のため、全国的なモデルになってほしいというメッセージではないかと捉えています。10年、20年後、さらにその先にも責任を持ち、地域に根差して必要とされるような総合診療医を育成していくことが当センターの使命です。

秋田大学医学部附属病院 総合診療医センター
秋田市広面蓮沼44―2
☎018―834―1111(代表)
https://www.hos.akita-u.ac.jp/

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