九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

高齢化社会の先を見据えて変化し続ける病院に

高齢化社会の先を見据えて変化し続ける病院に

社会福祉法人恩賜財団 済生会支部 福岡県済生会 八幡総合病院
院長(きたむら・まさゆき

1982年九州大学医学部卒業、同第二外科入局。
新日鉄八幡製鉄所病院(現:製鉄記念八幡病院)、宗像医師会病院、
福岡県済生会八幡総合病院消化器科部長、公立学校共済組合九州中央病院副院長などを経て、
2013年から現職。

 1927年、当時の八幡市の要請により、北九州工業地帯の中心に診療所として開設された。多くの労働者が集まる街を支えてきた伝統ある病院は、いま変化の時を迎えている。2013年から同病院を率いる北村昌之院長に、現在の取り組みと将来への展望を聞いた。

─求められている役割は。

 医療技術が発展し、より「安心・安全な医療」が求められています。特に高齢化が著しい北九州では、高齢者の医療に重点を置くことが社会全体の安心感につながり、先例になると考えています。

 2014年には、「高齢者急性期ケア病棟」と「緩和ケア病棟」を新設しました。高齢者急性期ケア病棟では、高齢者ならではの筋力の衰えや認知症に対しての理解を深め、患者さんを分け隔てなく受け入れています。

 高齢者は10日間寝ていると、元の状態に戻すのに4カ月かかると言われます。「肺炎で入院したのに、寝たきりになって帰ってきた」「入院したら認知症が進んだ」とならないように、入院中の生活習慣の中に予防やリハビリを取り入れる取り組みをしています。子どものために小児科があるように、高齢者医療は高齢者特有の問題を理解して進めなければなりません。スタッフの意識が変わったことで、患者さんへの身体拘束もかなり減少している状況です。

 また、当院は脳疾患手術の実績や透析治療、生体腎移植などで、西日本の医療を牽引してきた歴史がある病院です。医療技術や設備はもちろん、ドクターやスタッフにはもっと患者さんを中心とした医療を目指してほしいと話しています。その上で、標準以上の医療技術を持つ急性期病院、24時間365日の救急医療など、地域の総合病院として求められる役割を果たしていかなければならないと考えています。

─変化に対応する力とは。

 経営は栄枯盛衰を繰り返すものです。良い時に「勝って兜の緒を締める」のは難しく、経営が良かったからこそ、変化への対応が遅れることがあります。現在、医療における経営環境は非常に厳しくなっていますが、これが今後の〝当たり前〟だと考えて地道に歩んでいかなくてはならないでしょう。

 2013年8月に発表の社会保障制度改革国民会議報告書に「『治す医療』から『治し・支える医療』へ」という文言があります。まさに病院が診断と治療に専念すれば良かった時代は終わったと思います。

 変化に対応するカギは、人間教育です。看護師をはじめとするスタッフを、例えば年間の到達目標を決め、プログラムを組んで組織として育てていくことが必要だと思います。

 院長として、将来のビジョンを示すことは非常に大切です。院長が思いを伝えるだけで、病院は随分変わります。スタッフの意識を変えるためにはコーチが必要ですが、内部にいなければ外部から探してこなくてはなりません。大変な労力と精神力が必要ですが、取り組みが早く実を結ぶよう期待しています。

─今後は。

 耐震診断の結果を受け、移転の準備を進めています。今後考えているのは、地域における技術の平準化。病院だけでなく、患者さんの生活の場となる介護施設、かかりつけ医となるクリニックのスタッフとも学び合える場をコーディネートできればいいですね。

 現状では、病院で言語聴覚士が嚥下(えんげ)能力を最高の状態まで引き上げたとしても、生活の場が変われば維持が難しいこともあります。医療と介護は同じ患者さんと接していても、全く言葉が通じないような部分があり、その懸け橋をつくっていければと思います。

 済生会の理念は「愛と希望」。病院内だけで頑張るのではなく、地域で患者さんを中心とした連携をより進めたいと考えています。

社会福祉法人恩賜財団 済生会支部 福岡県済生会 八幡総合病院
福岡県北九州市八幡東区春の町5─9─27
☎093─662─5211(代表)
http://www.yahata.saiseikai.or.jp/

この記事を読んだ方は他にこんな記事も読んでいます

最新の記事情報が取得できます

Twitter

「いいね!」ボタンを押すと、最新情報がすぐに確認できるようになります。

Instagram

フォローする」ボタンを押すと、最新情報がすぐにツイート上で確認できるようになります。

Instagram has returned invalid data.

コメントはこちらから

メニューを閉じる