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高齢化により患者が増加 皮膚科医の育成が急務

高齢化により患者が増加 皮膚科医の育成が急務


教授(こうの・みちひろ)

1994年秋田大学医学部卒業。
米マサチューセッツ総合病院、米ハーバード大学医学部、
名古屋大学大学院医学系研究科皮膚病態学准教授などを経て、2019年から現職。

 1974年に開講した秋田大学皮膚科学・形成外科学講座は、地域医療を守りながら、最先端の医学研究を進めてきた。2019年9月、20年ぶりに母校へ戻り、教授に就任した河野通浩氏は、診療・教育・研究それぞれに注力し、地域医療の課題解決も視野に入れている。

―医局の特徴や人材育成について教えてください。

 当院は秋田県の特定機能病院であり、県内における、いわば「最後の砦(とりで)」です。皮膚科、形成外科も県内から多くの患者さんを受け入れ、皮膚がん、重症薬疹、全身の水疱(すいほう)症、重症熱傷などに対して、高度医療を提供しています。

 また、湿疹、白癬(はくせん)、帯状疱疹(ほうしん)などの一般的な皮膚疾患も数多く診療しており、アトピー性皮膚炎や乾癬(かんせん)などの専門外来も設置。まさにオールラウンドに対応しています。

 研究に関しては、色素異常症やアトピー性皮膚炎などに遺伝子からアプローチし、病態の解明や最適な治療法の開発に取り組んでいます。今後はさらに対象を広げ、じんましんや真菌症に対しても遺伝子の研究を進めたいと考えています。これらはまだチャレンジの段階ですが、いずれは新たな治療法を確立し、患者さんに還元できればと思っています。

 秋田県は皮膚科の医師が不足しており、まずは幅広い疾患に対応できるオールラウンダーな医師を育てる必要があります。しかし同時に、自分の専門領域をしっかり持ち、その領域の国際学会でも認められる優れた人材の育成も進めたいと思っています。

―地域の医療機関との連携について。

 医局のスタッフや県内の皮膚科医が一斉に集まる談話会を、月に1回程度開催しています。

 それぞれ別の医療機関で働いている医師たちが、定期的に顔を合わせる機会を設けることで、患者さんの相談、紹介などもスムーズです。秋田県では談話会の存在により、大学病院と地域の先生とのコミュニケーションが、かなり良好であると感じています。

 ただし、地域全体としての課題はまだあります。秋田県は高齢化がかなり進んでおり、それに伴い皮膚がんなど、重症の患者さんが増えてきています。しかし、皮膚科医が少ないことから、地域によっては内科や外科の先生が皮膚疾患の初期対応をしてくださっているケースが少なくありません。

 患者さんのためには、早い時期に専門の医師が対応することが理想です。県内の皮膚科医の育成を含め、皮膚科診療体制をできるだけ充実させたいと思っています。

―今後の目標は。

 まずは学生たちに皮膚科の魅力を伝え、多くの人に入局してもらうことです。

 皮膚科は、他科に比べてワーク・ライフ・バランスが比較的取りやすいと言えるでしょう。女性医師の結婚や出産にも対応し、復帰後もしっかりと仕事に取り組める環境を整えています。研究に打ち込むこともでき、これらのメリットを伝えたいと思っています。

 これにより医局の人数が増え、結果的に秋田県内で働く皮膚科医が増えれば、地域医療の課題を改善できます。加えて、人員の増加で余裕も生まれ、それぞれ専門領域の研究も加速するでしょう。このような良い循環をつくることが、大きな目標です。

 個人の目標としては、研究をじっくりと進めたいと思っています。これまで、私は色素異常症に関する二つの遺伝子を発見しました。一つは大学院生の時に始めた研究で、指導教授などの力を借りながら、約10年かけて発見。二つ目は私が中心となり、一つ目の発見の10年後に発見しました。

 いずれも長い時間が必要でしたが、成果は出ています。次の10年間で、また新しい何かを見つけたいと考えています。

秋田大学大学院医学系研究科皮膚科学・形成外科学講座
秋田市本道1―1―1
☎018ー834ー1111(代表)
http://www.med.akita-u.ac.jp/~hihuka/

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