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高知大学医学部 寄附講座 児童青年期精神医学 連携強化で健やかな心の発達を

高知大学医学部 寄附講座 児童青年期精神医学 連携強化で健やかな心の発達を

特任教授(たかはし・ひでとし)
2000年大阪大学医学部卒業。
米カリフォルニア大学サンディエゴ校、国立精神・神経医療研究センター、
高知大学医学部神経精神科学講座特任准教授などを経て、2019年から現職。

 今年4月、高知県の寄附により高知大学医学部に児童青年期精神医学が設置された。県内の児童精神科医療の現状と、今後の地域医療との関わり方について、特任教授の高橋秀俊氏に話を聞いた。

―県内の現状は。

 高知県ではこの10年間で、児童精神科の施設として「高知ギルバーグ発達神経精神医学センター」「高知医療センターこころのサポートセンター」などが開設され、環境は徐々に整えられてきました。しかし、施設があっても専門医の数が少ないこともあり、初診までの待機期間が半年以上、1年近くにもなる問題を抱えていました。

 小さなお子さんの場合、待機中に状態がガラリと変わってしまうことも少なくありません。必要な時に支援できなければ重症化を招き、入院が長期化する恐れもあります。そうなると、新規の患者の受け入れが困難になり、また初診の待機期間が延びる、と悪循環に陥ってしまいます。

 今年5月、高知大学医学部附属病院の「子どものこころ診療部」が初診の受け付けを2年半ぶりに再開しました。受け入れ体制に関する課題について、少しずつ緩和が見られてきたところです。

 他の基幹施設との連携の強化、かかりつけ医と共に地域支援体制の整備を進め、こうした問題の解決につなげていきたいと考えています。

―地域連携については。

 発達障害の方は成長して大人になっていく中で、その特性から家庭や学校、社会で過ごすことの困難さを感じています。

 乳幼児の頃は、保育士さんや小児科医、地域の保健師さんがいます。就学後であれば、学校の養護教諭や特別支援教育の先生、さらには校長先生、教頭先生など、さまざまな大人の理解とサポートを得ることが必要です。まずは、そういった方々と連携をとり、われわれはしっかりと情報を提供していくことが重要だと感じています。

 5月に、当講座の開設記念として「高知県における子どもの心の地域医療連携」と題したシンポジウムを開催しました。

 児童精神科医はもちろん、小児科医や教育関係者、行政の方など、職種や専門を問わず、子どもの心の診療に関心のある多くの方にご参加いただきました。まずは地域の方々に知っていただく良い機会になったのではないでしょうか。

 高知県は、南海トラフ巨大地震の発生を想定した災害後の心のケアも重要な課題です。学校であれば、スクールカウンセラーなどが初期対応に当たります。

 ただ、重症度のトリアージ、どのような医療を受けるべきかといった判断については、やはり医療

機関との連携が不可欠。そうした点からも、教育現場と平時からの連携体制を整備しておくことが大切です。

―児童精神科医の育成と今後について。

 「子どもの心」を診るというのは、必ずしも「対象とするその子どもの心だけ」を診ればいいというわけではありません。

 なぜなら、そのご家族も何らかの精神疾患があるというケースが少なくないからです。本人、そしてご家族の精神的な側面も含めてケアしていくことになりますので、精神科医として幅広い領域の知識が必要です。

 また精神疾患の種類によっては、身体的な症状を伴うものもあります。その場合は小児科の医師も心の問題に目を向ける必要が生じます。まずは精神科医、小児科医として一定程度の専門的な技術を獲得した上で、子どもの心の診療の経験を重ねていくのが理想的だと考えています。

 この点に関しては高知大学精神科の數井裕光教授、同小児科の藤枝幹也教授にご協力をいただき研修体制を整えているところです。子どもたちの心の発達を促す環境づくりに貢献したいと考えています。

寄附講座  
高知県南国市岡豊町小蓮185−1 
☎088─866─5811(代表) 
https://www.kochims.ac.jp/html/gakubu/chad_psy.html

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