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高度治療と相談窓口を実現 「がん診療センター」新設

高度治療と相談窓口を実現  「がん診療センター」新設


副院長・がん診療センター長(まりや・やすし)

1984年弘前大学医学部卒業。同附属病院講師、独エッセン大学、
弘前大学大学院保健学研究科保健学専攻(医療生命科学領域 放射線生命科学分野)教授などを経て、
2020年から現職。

 2020年11月、青森労災病院にがん診療センターが開設された。青森県がん診療連携推進病院としてこのセンターがなぜ開設され、今後どのように活用されていくのか。がん診療センター長を兼任する真里谷靖副院長に聞いた。

─センター開設の経緯は。

 当院は、青森県がん診療連携推進病院の指定を受けています。私が副院長に就任した2020年1月と同時期に、がん病巣をピンポイント照射するLINAC(ライナック、線形粒子加速器)による高精度放射線治療が導入され、治療が開始できることになりました。

 これらを含め、八戸医療圏でより高度ながん治療を提供できる施設になれるよう体制づくりを進め、同年9月にセンター長に就任しました。

 私の専門である放射線科の医師は、いろんな診療科と横断的に連携し、がん治療では俯瞰的に取りまとめる役を担っています。30年以上培った放射線治療、臨床検査、細胞診の専門医のキャリアと人脈を使い、今後は地域のために貢献できればと考えています。

 患者さんは、当院の最寄り駅があるJR八戸線が岩手県の久慈市まで走っているため、八戸市と周辺地域、岩手県北部からも多く来院されています。がん診療センターが開設されたことで、これらの地域の皆さんに高度な治療を提供していきたいと思っています。

─がん診療の特色は。

 診療部門と診療支援部門を再編、再構築します。院内にがん診療委員会を発足させ、消化器内科や外科、耳鼻咽喉科、放射線治療科など各診療科の医師が同じベクトルでがん診療に当たります。

 診療支援部門では、「がん相談外来・がん遺伝相談外来」を設けています。がん遺伝相談外来では、がんの遺伝に関わる心配や悩みに対し、医師が相談に応じます。最適な治療を探すため、必要であれば、がん組織のゲノム情報を読み取り、1回の検査で多くの遺伝子を調べるがん遺伝子パネル検査を実施します。私も担当していますが、カウンセリングが必要な場合は青森県立中央病院に依頼します。

 セカンドオピニオンなどがんに関する治療や療養生活などよろずの相談については、「がん診療センター相談窓口」で担当します。この窓口には、患者さんが気楽に無料で相談できるトリアージ的な役割を持たせています。がんに詳しい看護師や医療ソーシャルワーカーなどが相談に応じ、難しい判断が必要な場合には、前述のがん相談外来で医師が担当します。

 これまで八戸市地域ではこれらの相談窓口がありませんでした。がん治療は、地方による情報の格差があり、特に高齢の患者さんには十分な情報が伝わっていないと感じています。診断に疑念があっても相談の場さえないのです。最先端の医療は地方であっても、できないことはありません。これらの外来相談は「がんの情報と自然に触れられる」そんな場にできればと思っています。

─今後は。

 診療部門では、外科、放射線科と各診療科が連携して、手術、放射線治療、化学療法を組み合わせながら最善の治療を行っています。

 最近の技術的進歩は目覚ましく、高精度放射線治療による局所治療法、がん薬物治療や免疫療法との併用などにより、進行がんであっても高い治療成績が期待できるようになっています。私も併用療法については今後も研究を続けたいと思っています。

 高齢の患者さんが望まれるのは、地元での治療です。当院が窓口となり、検査や高度な先進治療を行った後は、かかりつけ医のもとで治療を継続していただきたいと思っています。「地元でできることは地元で」。患者さんの思いに応える医療を継続していきます。

独立行政法人労働者健康安全機構 青森労災病院
青森県八戸市白銀町南ケ丘1
☎0178―33―1551(代表)
http://www.aomorih.johas.go.jp/

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