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高度救命救急から若手育成まで 長崎県の医療の要でありたい

高度救命救急から若手育成まで 長崎県の医療の要でありたい

 
副院長(やつはし・ひろし)
1984年長崎大学医学部卒業。
1988年国立病院長崎医療センター(現:国立病院機構長崎医療センター)入職。
臨床研究センター長などを経て、2019年から現職。
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科肝臓病学講座教授兼任。

 長崎県のほぼ真ん中、大村市にある長崎医療センター。ドクターヘリを有する高度救命救急センターをはじめ、長崎県の医療においてどのような役割を果たしているのか。八橋弘副院長に話を聞いた。

―病院の特徴は。
 離島を含め、長崎県全体から3次救急を受け入れています。救命救急に当たる医師は現在13人。最近はテレビドラマや映画の影響もあって、救命救急を志望する医師、看護師が増えてきており、良い傾向とうれしく思っています。

 長崎医療センターには現在、研修医などの若手が40人ほどいます。実は、長崎県における医師の臨床教育を、長年手掛けてきました。特に離島診療に欠かせない、幅広く対応できる総合診療医、いわゆるゼネラリストの育成には実績があります。

 長崎県の離島の医師のほとんどが、ここで経験を積んでいると思います。離島では、あらゆる症例に対応する必要があり、総合診療医として広く浅くではなく、広く〝深く〟学んでいかなければなりません。総合診療医も若い人の希望が増えており、時代のニーズに合ってきたのではないかと感じています。

―副院長に就任されました。

 この長崎医療センターに30年ほど勤め、2019年4月に副院長を拝命しました。副院長の重要な仕事の中に、医療安全と感染対策があります。

 ところが就任直後の5月、当院の要とも言える高度救命救急センターで、耐性菌による院内感染が起こり、一部閉鎖という事態が発生したのです。閉鎖中は、感染がなぜ起こったのか、スタッフと毎朝ミーティングを実施。さらに私の名前で毎週メールを発信し何を改善すべきか、共有し続けました。現在閉鎖は解除されていますが、このことを真摯(しんし)に受け止め、共に対策に取り組んだことによって、より職員の結束が強くなったと感じています。

 職員全員が約1200人もいる大きな病院です。職員の声をしっかりと聞くことも副院長の仕事の一つ。特に看護部長をはじめ、各職場長からの情報は重要です。看護師の場合、患者さんのことを最も把握していますから、〝看護師の声は患者さんの声〟だと考え、耳を傾けています。

 医師の働き方についても、1人の医師に業務が集中しないよう、診療科の垣根を越えてバランスを取る対策を整えています。「基本的に時間内に仕事を終える」「会議の時間を効率化する」など、働きやすい環境づくりを、今後も進めていきます。

 大村市は、県内の市の中で唯一人口が増加しています。人が集まる要因の一つに、医療の充実は欠かせないと思っています。産婦人科、小児科など子育て世代に欠かせない診療科があることは、住みやすさにつながるはずです。

 また、商業施設が増え、長崎空港に近接しています。若い世代が多い都市であれば、職員たちも集まってきます。大村市と共に、この病院も発展できるよう願っています。

―肝疾患に強い病院です。

 肝疾患については私のライフワーク。長崎医療センターは、2007年に肝疾患診療連携拠点病院の指定を受けており、現在も「臨床研究センター」を中心に、治験や研究に熱心に取り組んでいます。

 肝疾患治療はここ数年で大きく進歩し、私の専門であるウイルス性肝炎は薬剤による治療が進んできました。

 今後は、生活習慣による肝疾患が増えると考え、現在、「肝硬変患者の予後を含めた実態を把握するための研究」に着手。肝硬変患者の予後を推定する新規マーカーの研究も進めています。運動をすると「肝臓が元気になる」という意外な関係にも仮説を立て、着目しています。これまでの肝疾患は「安静」が当たり前でした。しかし、すでに「歩く、運動する」時代に突入していることを知っていただきたいと思っています。

独立行政法人国立病院機構 長崎医療センター
長崎県大村市久原2―1001―1
☎0957―52―3121(代表)
https://nagasaki-mc.hosp.go.jp/

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