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高度技能専門医の 育成に挑む

高度技能専門医の 育成に挑む

久留米大学医学部外科学講座
(肝胆膵グループ)

久下 亨 教授(ひさか・とおる)
1993年久留米大学医学部卒業、1994年同大学院医学研究科(病理学)入学。
仏ボルドー第2大学肝臓病学研究所、久留米大学医学部外科学講座講師、
同准教授などを経て、2021年から現職。


 肝胆膵(すい)領域の高度技能専門医の育成と、ハイボリュームセンターとしての役割を担う久留米大学。その肝胆膵グループの教授に就任した久下亨教授に、肝臓がんを中心とした手術の現状、若手育成について聞いた。


ハイボリュームセンターの役割を担うために

 久留米大学医学部外科学講座消化器外科では、消化器外科で10年ほどをかけ専門医を取得した後、食道グループ、胃グループ、大腸グループ、肝胆膵グループに分かれ、高度技能専門医を取得するプログラムになっている。

 「肝胆膵の手術は非常に複雑で、患者さんによっても異なってきます。かなり経験を積む必要があり、内科や放射線科など他科との連携も重要です」。年間に肝臓系だけで百数十例もの手術を実施しており、久留米市を中心とした筑後地域のハイボリュームセンターとしての役割を担っている。

 必要とされる医療を届けるためには、やはり人材が必要だ。「手術の時間が長く、合併症が起こった場合の対応に多くの時間を取られることが少なくありません。外科全般に言えることですが、学生を含めた若手の育を改めて充実させていきたいと思っています」

 働き方改革も検討しているものの、術後の管理の時間など条件を満たすことが難しいという。「若い先生にはとにかく手術での経験を積んでもらい、指導と術後の管理はベテランがフォローするといった方法を考えています」。肝胆膵グループに在籍する高度技能指導医を含め、全員の力で若手の育成に取り組んでいきたいと語る。


難治性がんに挑む

 就任に当たっては、①患者さんとそのご家族が常に前を向いて受けられる全人的な医療を実践する、②質の高い手術と良好な成績を上げる、③チーム医療、横断的な総合医療を行う、④臨床と研究イノベーションの導入と開発、⑤地域連携の推進、という、五つの目標を掲げた。

 これらの実現には、代々受け継がれてきた肝臓がん手術の成果を挙げる。「おかげさまで、肝臓がん切除の5年生存率は7割を超え、10年生存率も5割を超えています」。非常に予後が悪い局所進行肝がんの場合には、集学的治療を実施している。「主に内科で動注化学療法を行った後に、切除手術を行っています。今のところ5年経過で67・9%と、かなり手応えを感じています」

 内視鏡による手術にも力を入れている。開腹手術では、患者さんの負担も少なくなかった。「現在、肝切除の半数以上は内視鏡による手術を行っており、高難度な広範囲を取る手術も積極的に行っています」。合併症も少ない。開腹では術後2週間を退院のめどとしていたが、内視鏡では1週間から9日で退院が可能だ。「内視鏡による手術は出血も少なく、今後も高難度な手術にチャレンジしていきたいと思っています」

 懸念しているのが、膵臓がんだ。2019年までに死亡率が肝臓がんを抜いた。「術前の化学療法では良い結果も出ています。ぜひ若い先生と一緒に取り組んでいけたらと思っています」


リサーチマインドを持つ

 旧第一外科に入局し、大学院では病理学を専攻した。病理学は肝臓との結び付きが深く、自然と肝胆膵領域を選んだという。「現在は専門医の取得のために、基礎医学が敬遠される傾向があります。しかし、リサーチマインドがなければ、外科のイノベーションは起きません。基本的な考え方、論文の書き方や学会の発表は基礎を学べばしっかりと身に付きます。一見、回り道のようだけど、実は近道ではないでしょうか」。基礎を学びたいという若手には、積極的にサポートを行っていきたいと語った。


外科学講座が一つに

 久留米大学の外科学講座は、1932年に前身の九州医学専門学校から始まり、1956年の大学院設置によって、外科学第一講座、第二講座の時代が長い間続いてきた。その後、1997年に二つの講座が合併。外科学講座として新しいスタートを切った。「同門会も二つの講座別に分かれていた時代が長かったのですが、医局員や同門の先生方の多大な努力の末に、今では一つにまとまっています。これにより、講座も、主任教授を中心に、名実ともに『外科講座』になったと実感しています」

 教授就任に当たり、今後は同門会をまとめる役割も担わなければならないという。「当講座が培ってきた関連病院、開業医の先生と強いつながりを引き継ぐとともに一つになった講座を磐石にし、同門会をさらに発展していく役割をしっかりと担っていきたいと思います」



久留米大学医学部外科学講座 (肝胆膵グループ)
福岡県久留米市旭町67 ☎0942-35-3311(代表)
https://www.kurume-geka.com/

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