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高度医療機能をさらに高め札幌医療圏のニーズに対応

高度医療機能をさらに高め札幌医療圏のニーズに対応


院長(むかい・まさや)

1981年北海道大学医学部卒業、同附属病院(現:北海道大学病院)第二内科入局、
米ニューヨーク州立大学留学などを経て、1997年市立札幌病院入職、2019年から現職。

 2019年末に東京五輪マラソンの札幌開催コースが決まり、年明けの市内は慌ただしさを増している。コースの注目ポイントの一つが北海道大学ポプラ並木。選手が疾走するその並木にほど近い場所に建つのが市立札幌病院だ。2019年、開設150年を迎えた節目の年に就任した向井正也院長に、現状と今後の目標を語ってもらった。

―開設当初の様子は。

 1869年(明治2)年、札幌開拓のため隣接の小樽市銭函に設置された仮役場の片隅に設けられた小さな診療所がスタート。翌年、市内の官舎に仮病院が置かれ、千葉県出身の医師、斎藤龍安が着任、診療に当たりました。病院らしい本格的な建物の建設は20年後。外国人医師のグリム院長自らが設計し、その瀟洒(しょうしゃ)な外観デザインは評判となりました。市外から見学に訪れる人が少なくなかったと言われます。残念ながら建物は大正時代に焼失しました。

―現在の建物は。

 1995年の竣工です。敷地面積約4万3800平方㍍、延べ床面積約6万4500平方㍍、地下2階、地上10階、病床数672、屋上にヘリポートを設置しています。道央圏の3次救急の中核を担う救命救急センターを中心とする急性期医療をはじめ、総合周産期母子医療、精神医療などを提供。33の診療科を擁する基幹総合病院として、ほかの医療機関などからの受け入れ要請を断らない医療の実践を使命にしています。

 1日平均患者数は外来約1600人、入院約550人。ベッド稼働率は一般病床では90%前後で推移。また災害拠点病院として72時間、電力供給可能な大型の非常用発電機を備えています。2018年、最大震度7を記録した北海道胆振東部地震では、札幌を含む道内広域でブラックアウトが発生しましたが、当院は3日間、診療をフルに行いました。

―現在の取り組みを教えてください。

 2013年に承認された地域医療支援病院の取り組みに力を入れています。

 具体的には、2018年度の当院の紹介率82%、逆紹介率109%と高い比率になったのをはじめ、救命救急や周産期母子など各センターを中心とする24時間体制の救急医療の一層の強化。さらに、MRIやCTなど多数の検査受託、かかりつけ医と当院の医師が共同で診療に当たる開放型病床の運用、各種症例検討会や講演会の多数開催など、各種の取り組みを行っています。

 北海道の全人口の4割を超える道民が暮らす札幌医療圏の人口増加は、今後数年でピークを迎え、以降は徐々に人口が減少し、2045年にはピーク時に比べ10%以上少なくなると予測されています。

 一方、高齢者率は伸び続け医療需要が増加すると見込まれています。こうした変化への対応が今から求められています。

―具体的な対応策は。

 救急医療に対するニーズが特に増加すると見られており、高度急性期機能を高める取り組みが必要です。これを踏まえ、2019年度から実施の「市立札幌病院中期経営計画」の基本目標の一つに、医療を担う人材育成および先進医療への貢献を掲げています。

 市民の期待に応える医療を継続的に提供するには、将来の医療を担う若い人材、多様な人材の育成が欠かせません。またゲノム医療、再生医療、AI医療など先進医療の動向を注視し、市民に還元できるよう適切に対応していくことも重要です。

 人材育成は研修医のみならず専門医を含め、関連大学から各部門への実習生の積極的な受け入れを実施します。先進医療については、札幌市が取り組む医療関連産業集積事業に協力し、大学病院や研究機関と連携して適応患者の紹介推進など、新規の取り組みを行っていきます。

市立札幌病院
札幌市中央区北11条西13―1―1
☎011―726―2211(代表)
https://www.city.sapporo.jp/hospital/

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