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高度医療の実現には基本に忠実であれ

高度医療の実現には基本に忠実であれ


病院長(はやし・あつし)
1988年大阪大学医学部卒業。大阪大学医学部附属病院、
米カリフォルニア大学サンフランシスコ眼科客員教授などを経て、2019年から現職。
富山大学副学長、富山大学眼科学講座教授兼任。

 富山県内唯一の大学病院であり、特定機能病院でもある「富山大学附属病院」。ここだからこそ可能な治療も多いことから〝県内最後の砦〟とも表されている。この病院が果たすべき役割とはー。2019年4月から院長に就任した林篤志病院長に話を聞いた。

病院長、臨床医、教育者として

 病院長に就任した感想を聞くと、「ほんま、勉強勉強の毎日です」やわらかな関西弁で話す林病院長。ここ富山大学附属病院にて、約3年間の副院長を経ての現職である。

 「副院長の頃までは、眼科医7割・副院長3割程のイメージでしたが、現在は逆のウェイトになっています」と話す。しかし、臨床医である事は生涯変わらない。眼科の一医師として、今も現場にも立つ日々だ。

 「生死に直結すること自体は少ないけれど、生きていく上では非常に大きな部分を占めるのが視覚情報である」と林病院長。それが眼科医を志した理由だ。

 「眼科は手術ができる、ところも私にとっては大きい。手術することは、〝治す〟ことに直結します」。しかし、手術漬けのある時ふと立ち止まる。一人でいくら手術しても、治療できる人数には限りがある。

 それなら次世代の優れた眼科医を育てることこそが、より多くの患者の役に立てることなのでは。約12年前から眼科学教授として教鞭を執る。現在では病院長、眼科医、そして教授、副学長とさまざまな顔を持つ。

大切なのは信頼関係

 「この仕事は信頼関係。これがなければ何ごとも成り立たない」。そこで、最も大切にしているのが「対話」だ。病院長になる前から続けているのが、近隣クリニック医師との対話。

 かつては眼科医中心だったが、病院長の現在は、内科など他診療科の医師のもとへも、自ら足を運ぶ。「最初は驚かれます(笑)。直接話を聞くと、さまざまな気付きがありました」

 対話は医師相手だけに留まらない。看護師や技師など5〜6人の病院内医療従事者を集め、食事をしながら近況を聞く会を、週に1度のペースで長年続けている。また、さまざまな部署を訪問し、問題があれば話を聞き、現場の改善も自ら進んで行う。

 これら全てが、患者へのより良いホスピタリティに繋がる、と考える。「患者さんにやさしい病院でありたい。そのためには目に見えない部分、基本の部分を、疎かにしてはいけないと思っています」

次なる課題に挑む

 直近の取り組みは主に三つ。まずは特定機能病院としての高度医療の研究、技術の向上だ。難しい症例と向き合い責任をしっかり果たしていくためのたゆまぬ努力を続ける。

 そして、医療安全。「気をつけよう、と声を掛け合うだけでは絶対に見落としがある」と考え、ミスを完全に防ぐために、例えばチェックを入れないと次に進めない機能を追加するなど、ミスに気付くシステムの構築を進めている。

 もう一つが「働き方改革」。医師は時間に関係なく働くものという意識が業界全体に根付いていたため、まずは勤怠管理を細かく行うことから始めている。定時と残業の境目をまずは明らかにし、全体の調整を図っているところだ。

 また、教育者としての取り組みも忘れていない。

 「信頼、対話、そしてもう一つ、それは〝感謝の気持ちを忘れない〟こと。今の自分があるのは、これまでの患者さんがいてこそ。そして恩師や周りの人のおかげであって、自分一人の力ではないのです。技術の継承だけでなく、そういった考え方の根幹も学生や研修医に伝えるよう心がけています。それが患者さんへのやさしさにも繋がっていくはずですから」

富山大学附属病院
富山市杉谷2630 ☎︎076―434―2281(代表)
http://www.hosp.u-toyama.ac.jp/

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