九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

高まる歯科医療の重要性 どう守る?市民の口腔環境

高まる歯科医療の重要性 どう守る?市民の口腔環境

一般社団法人
神田 晋爾 会長

1982年福岡歯科大学卒業。福岡県歯科医師会理事、
福岡市歯科医師会副会長などを経て、
2017年から現職。
福岡市歯科医師連盟会長、公益社団法人日本歯科医師会代議員を兼任。

 会員数はおよそ1050人。1927年に設立して以降、福岡市歯科医師会は歯科医療の向上に努めてきた。「8020(ハチマルニイマル)運動」の推進をはじめ、「」への関心が高まる中、どのような活動を展開しているのか。神田晋爾会長を訪ねた。

―現状をどのように見ていますか。

 福岡市歯科医師会は1927年、市民の「口腔の健康の維持・増進」を行うために発足しました。口腔環境の影響は虫歯や歯周病だけではなく、話すことや嚥下(えんげ)機能にも及ぶことが明らかになってきています。

 高齢化が進む今こそ、口腔の健康の重要性や、正しい知識をもっと伝えていかなければならない。「健康寿命の延伸に貢献するための情報発信」を担う私たちの役割は、ますます大きくなっていると感じています。

 現在、全国的に虫歯は減少傾向にあります。福岡市における12歳児の虫歯の罹患(りかん)率は、1989年は約90%。2017年になると約40%に低下しました。また、80歳で自分の歯を20本以上保有している「8020」達成者率は、活動が始まった1989年は約7%。2016年には50%を超えました。口腔ケアの重要性に対する意識が向上していると実感しています。

 とはいえ、まだまだ歯科健診の受診率は低いのが現状です。口腔内の環境に何らかの不安を抱えている人は7割程度だというデータがあり、そのうち歯科医院に行く人は半分以下だと言われています。例えば中学校の健診では、虫歯は減っていても軽度の歯肉炎を起こしているケースが多く見られます。ブラッシングが正しくできていないことが要因です。

 また、左右の歯でかむバランスが良くないと、肩こりや片頭痛につながることもあります。こうしたリスクに気づいていただくためにも、「かかりつけの歯科医」を持つことが重要であることを、努めて発信しています。強調しておきたいのは「痛くなったら行く」ためにかかりつけ医を持つのではないということです。目的は定期的なチェックを受けて「歯の健康状態を維持する」こと。およそ半年に1度の健診が有効です。

―福岡市歯科医師会の活動の中心は。

 大きな役割は、市民に直接情報を発信する行政や医師、薬剤師などに対する啓発活動です。また、イベントなどを通じた情報発信にも取り組んでいます。

 6月4日〜10日は「歯と口の健康週間」。6月9日の「福岡市民の健康を歯と口から守る集い」では「健口(けんこう)講演会」や歯科健康相談、口腔ケア実践教室、子どもを対象にした職業体験などを実施しました。

 今年、福岡市薬剤師会の協力を得て、市内の「健康応援薬局」で利用者に歯科医師を紹介していただく体制もつくろうとしています。薬局は身近な存在ですから、相談窓口として気軽に活用してもらえたらと考えています。

 在宅患者が増加する現在、訪問歯科診療の必要性も高まっています。そこで昨年12月に「地域連携室」を立ち上げました。歯科衛生士が電話で全身状態や口腔内の状態をヒアリング。症状や診察時間などを踏まえて歯科医師をマッチングします。現在、登録している歯科医師は約300人。今年4月に活動を本格的に開始して以降、少しずつ問い合わせが増加している状況です。

 長期的な視点では、義務教育の期間に医科と歯科が合同で行う「健康教育」が必要ではないかと市に提案しているところです。福岡市は歯科医師の数が多く、九州大学歯学部、福岡歯科大学があります。人材が豊富で、新たなチャレンジを進めやすい土壌だと思います。多方面との連携を図りながら、歯科医師の地域貢献を支えていきたいと思います。

一般社団法人 福岡市歯科医師会
福岡市中央区大名1─12─43
☎092─781─6321(代表)
http://www.fda8020.or.jp/

この記事を読んだ方は他にこんな記事も読んでいます

最新の記事情報が取得できます

Twitter

「いいね!」ボタンを押すと、最新情報がすぐに確認できるようになります。

Instagram

フォローする」ボタンを押すと、最新情報がすぐにツイート上で確認できるようになります。

コメントはこちらから

メニューを閉じる