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高い技術と社会性 選ばれる外科医を養成

高い技術と社会性  選ばれる外科医を養成

九州大学大学院医学研究院 臨床・腫瘍外科
中村 雅史 教授(なかむら・まさふみ)

1988年九州大学医学部卒業。
国立がん研究センター中央病院、米ハーバード大学医学部、
川崎医科大学消化器外科学教室主任教授などを経て、2015年から現職。
九州大学病院副病院長兼任。

 第8代教授として九州大学大学院医学研究院臨床・腫瘍外科を率いてきた中村雅史教授。掲げてきた目標の一つは「選ばれる外科医」を育てることだ。その言葉に込めた思いについて聞いた。

─講座が目指すものは。

 目標の一つとして掲げてきたのが、「選ばれる外科医を育てる」。外科医の場合で考えると、まずは技術が確かであること。そして、がん治療であれば、放射線治療や抗がん剤治療など、手術以外の幅広い知識を持って、患者さんにとって最善の治療をニュートラルに選ぶことができる人でしょう。

 さらに、患者さんの話をしっかりと聞き不安をとり除くことができ、他診療科の医師やさまざまな職種のスタッフとしっかりと意思疎通もできるコミュニケーション力があることも大切です。技術があり、社会性も高い外科医。それを病院も求めていますし、患者さんもそういう医師に巡り合うことを望んでいると思います。

 一方で、大学の使命としては、新しいものを作り上げるイノベーションが求められています。患者さんに寄り添う医療と、イノベーションを進めることは、一見、相反するように感じますが、本質的な狙いは医療、患者さんへの貢献です。この二つを両立できる医師を育てること、それを講座の命題と考えています。

─具体的な取り組みは。

 技術で言えば、より低侵襲で体に負担が少ないものが望まれるようになっています。当講座でも、ロボット支援下手術を含め、積極的に取り組んでいます。

 2020年4月、膵がんなどに対する膵頭十二指腸切除術と膵体尾部切除術のロボット支援による手術が保険適用になりました。九州大学病院は適用開始と同時に実施施設の認定を受けています。

 社会性のある医師の育成では、年1回の同門会の場で、講演会や勉強会を実施できないかと、同門会長の先生と相談しています。

 年齢を重ね、マネジメントする立場になった時、急に社会的な能力が芽生えるかと言うと、そういうことはありません。若いうちは、技術を磨くことに目が向きがちで、それはそれで大事なことですが、いずれ管理職になるという意識を全員に持ってもらい、問題への対応力、コミュニケーション能力などを若い頃から高めていってほしいと願っています。

 現在は、ロボット支援下手術が「最先端」ですが、10年経てば、その「最先端」も大きく変わっているでしょう。新しいものを積極的に取り入れ、常に学習する姿勢は現役でいる限り、持ち続けなければなりません。同時に、マネジメントする側になれば、自分の組織が流れに置いていかれないようにするにはどうすべきか考えながら運営していく能力が必要です。学習し続けること、変化を嫌がらないこと。それも大事に伝えていきたいと考えています。

─2021年2月開催の第57回九州外科学会会長です。

 本学大学院医学研究院消化器・総合外科(旧第二外科)森正樹教授との共同開催です。この学会は外科医の登竜門とも言われ、若手の外科医が初めて学会発表する貴重な機会。また今回は二つの医局が連携することで一般外科全体を網羅的に扱う絶好の場になりそうです。

 今のところ学会会場とウェブによるハイブリッドでの実施を予定しています。外科に関して言うと、低侵襲手術の広がりによって手技の習得に動画を活用することも増えており、学会をウェブ配信すると、視聴者が増える傾向にあります。多くの方に参加いただきたいですね。

 九州大学病院には学術用のインターネットを利用して遠隔医療教育を実施する「アジア遠隔医療開発センター(テムデック)」という組織があります。こちらの全面協力を得て、手術の動画配信など、学会初のコンテンツも考えていきたいと思っています。

九州大学大学院医学研究院 臨床・腫瘍外科
福岡市東区馬出3─1─1
☎092─641─1151(代表)
http://www.surg1.med.kyushu-u.ac.jp/

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