九州医事新報社 - 地域医療・医療経営専門新聞社

香川県医師会 会長 久米川 啓

香川県医師会 会長 久米川  啓

 新年明けましておめでとうございます。皆さま方におかれましては、令和となって初めての新年を穏やかにお迎えのこととお喜び申し上げます。

 2019年は台風や風水害のために全国で大きな被害が発生し、被災地では今も多くの方々が不自由な避難生活を余儀なくされておられます。亡くなられた方々にお悔やみを申し上げるとともに、一刻も早い復旧をご祈念申し上げます。

 さて、2025年問題の解決に向け、国は「地域医療構想の策定」と「地域包括ケアシステムの構築」をさらに推し進めています。

 「地域医療構想の実現に向けたさらなる取組」と称して、「代替可能性がある、または診療実績が少ないと位置付けられる公立・公的機関に対して医療機能の他医療機関への統合や再編について調整会議で協議するよう要請する」とし、424病院名を公表しました。マスコミがあたかも再編統合を国から求められたかのように報道したため、患者さんや当該病院職員に無用な不安を抱かせることとなりました。

 国は都道府県に対し、病院に対する指導や勧告の権限を与えるとともに、地域医療構想調整会議を年4回以上開催することを要求し、その報告を義務付けています。しかしながら進捗状況は低調であり、この会議の活発化を図るため病院名を発表したと言っています。厚労省は発表の仕方には問題があったとして謝罪しましたが、病院への対処については変えていません。

 本会では、「地域包括ケアシステムの構築」を積極的に推し進めており、2019年 に「香川県地域包括ケアシステム学会」を発足しました。「かかりつけ医」を中心とする地域での医療・介護の取り組みは、今後さらに必要となりますが、多職種の医療関係者ばかりでなく、地域住民や学生、ボランティアの協力が不可欠です。また、町内会などの活性化など自治体の協力も必要であり、それが町おこしにつながっていければと思っています。

 今、世界に冠たると言われた日本の皆保険制度の存続が危うくなっています。われわれは常に危機感を持って取り組まねばならず、必要最小限の治療で最大の満足を引き出す医療を考えねばなりません。

 医療の本分は、「病気を治す」ことだけでなく「患者さんがその人らしく人生を全うするのを助ける」ことにあります。本会としてもその本分を忘れることなく、医療に向き合ってまいりますので、変わらぬご支援をお願い申し上げます。

 皆さまにとりまして、幸多き年となりますよう祈念いたしまして新年のごあいさつとさせていただきます。

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