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顔の見える関係で地域完結型の医療を

顔の見える関係で地域完結型の医療を


院長(まつくま・あきと)

1984年九州大学医学部卒業。九州がんセンター消化器外科、福岡東医療センター外科部長、
済生会飯塚嘉穂病院外科部長などを経て、2018年から現職。

 田川市立病院の松隈哲人院長は、就任直後から地域の医療機関との連携強化に取り組み、「地域完結型医療」を目指してきた。コロナ禍の今は、第2種感染症指定医療機関として対応に奔走。その苦労や未来への提言を聞く。

―地域での役割について。

 当院は福岡県田川市を中心とする1市6町1村、人口約11万7500人の田川医療圏にある総合病院として、地域医療の中核を担っています。地域の医療機関との連携に力を入れていて、2019年から定期的にオープンカンファレンスを開催しています。開業医の先生や看護師、介護職の方々を対象に、当院の医師が一般的な病気への対応などを話すことで、「顔の見える関係性」を構築するのが狙いです。

 院内には「医療支援センター」を設置し、地域の医療機関や介護施設からの紹介、逆紹介などをスムーズに行えるようにしています。一方で、解消すべき課題があるのも事実です。県内の都市圏にある総合病院と比較すると医師数が不足しており、紹介された患者さんをお断りせざるを得ないケースがあります。救急車の受け入れに関しても同様で、結果として地域のニーズを完全には満たしていません。

 今後はマンパワーを充実させ、できる限り断らない体制をつくることと、他の医療機関とも密に連携しながら、地域の方たちの病気は地域で治す「地域完結型医療」を目指します。

―新型コロナウイルス感染症への対応は。

 筑豊地域で唯一の第2種感染症指定医療機関として、20年3月からコロナの患者さんを受け入れてきました。これまでの患者数は200人以上に上り、そのうち半数近くは年末年始にかけての第3波の時期に受け入れました。一気に患者さんが増えただけでなく、重症度も上がりました。

 厳しい状況の中、医師や看護師たちは一生懸命働いてくれました。病院運営で苦労した点は、風評被害への対応と収益の減少です。最初の患者さん以降、地域では3カ月ほど感染者がおらず、他の医療圏から患者さんを受け入れていました。幸い、職員は理解を示してくれましたが、住民の方たちから不安感を訴える電話があり、実際に外来の患者数も減少しました。さらに、不急の手術を控えたり、診療体制を縮小したりしたことで、収益が落ち込んでしまいました。20年7月以降は徐々に回復しているものの、以前の状況には戻っていません。

―今後の対策は。

 まずは院内感染を防ぐことです。これまで当院では院内感染が一度も発生していませんが、長期戦も予想され、油断はできません。今後も状況に応じて職員と共に最大限の対策を講じたいと思います。

 将来を見据えた地域、国単位での対策も重要です。例えば、現在進められている地域医療構想では、地域単位での病床数の削減や、公立・公的病院の再編・統合などが焦点になっています。これらの議論の中に、次のパンデミックに備えた体制づくりも加える必要があるでしょう。医療崩壊の危機が叫ばれているコロナ禍の対応を教訓とし、感染症に即応できる病床の運用システムを考えてほしいですね。

―これからの目標は。

 何よりも医師の確保です。熱心に取り組んできた結果、21年度からは常勤医がいなかった呼吸器内科に2人赴任し、総合診療科の医師も2人から3人に増えます。コロナ対応を含めて診療体制が充実することになりますが、まだ足りません。特に地域全体で不足している循環器内科医の確保は急務です。

 将来的には医師と同時に診療科をもっと増やして、今まで以上に地域の皆さんや地域の医師に必要とされる病院を目指していきたいですね。

田川市立病院
福岡県田川市糒1700―2
☎0947―44―2100(代表)
http://hospital.city.tagawa.fukuoka.jp/

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