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非常事態にスピード感持って

非常事態にスピード感持って


会長(ひらた・やすひこ)

1978年九州大学医学部卒業。九州大学医学部第一内科(現:病態修復内科)、
米カンザス大学メディカルセンター留学、唐津赤十字病院などを経て、
1992年平田内科・胃腸科クリニック開設。2020年から現職。

 2020年6月、福岡市医師会の新会長に選出された平田泰彦氏。2年の任期は、新型コロナウイルスの影響を受けながらの船出となった。2618人(9月1日現在)の会員を、どう束ねていくのか。

行政や県医師会とも連携 適切な判断と想定、実行を

 「今は、非常事態です。その時々で適切に判断し、実行すること。さらには、起きていることだけでなく、近い将来、起こりうることを考えて、手を打つこと。スピード感を持って、続けていく必要があると思っています」

 着任から3カ月。それまでは副会長、理事として、市医師会の運営を支えてきた平田会長は、表情を引き締める。

 新型コロナ対策に関しては、国の指針がまとまるより前に、市から「対象患者を診る際に、標準予防策を施していれば、該当医療者は濃厚接触者としない」とする確約を得るなど、対応に動いてきた。

 「市医師会も、PCR検査ができるサテライト診療所を設けるなど、検査体制を充実させてきたとはいえ、患者が急増したら追いつかなくなる可能性もある。会員の医療機関で検体を採取するような仕組みも、検討する必要があるでしょう。宿泊療養施設への医師の派遣は、医師会の役割の一つですし、検体搬送時の梱包(こんぽう)の簡素化など実現したいこともあります。行政や、福岡県医師会と連携し、進めていきたいと考えています」

コロナ禍でニーズ実感 会員に寄り添い丁寧にサポート

 コロナ拡大前から考えていた「公約」の一つが、広報力強化だ。今は、特に会員向け広報の重要性を感じている、と言う。

 例年4月に開かれる「施設基準の集団指導」など、研修会や会合は、ほとんどが中止かオンラインでの開催。コロナ拡大に伴う慰労金申請などの手続きについては、書類で会員に通知しているが、経営支援がどこまで行き届いているのか、対面でのコミュニケーションが難しい分、不安が募る。

 「情報を送って終わりにするのではなく、『しっかり伝わっとっとや?(伝わったかな?)』の精神で会員に寄り添い、必要に応じてサポートする。そんな医師会でありたいと思います」

 もう一つの公約が、会員を対象とした健康管理システムの構築だ。これまで、会員の訃報を耳にするたびに、「防げなかったのか」との思いで胸が痛んだ。

 「会員の診療所は、ほとんどが1人医師。自分の健診などは後回しにしがちです」。会員が連携し、カバーし合うことで、定期的に健診を受けられるような体制ができないかと考えている。

〝市民とともに〟安心・安全の医療提供体制を

 同時に、市民向け情報発信力強化の一歩も踏み出している。

 9月2日、福岡市医師会としては初めてとなる定例記者会見を同医師会館で開催。報道各社を前に、自らマイクを握った。

 「医師会に求められる責務の一つは、市民の健康で文化的な明るい生活を支え、同時に、市民とともに安全・安心な医療提供体制を築くこと。そのために、われわれ医療関係者がやるべきことは、医療現場の現状を正確に発信し、医学的見地からの正しい判断を、市民と共有することだと考えている」

 「新型コロナウイルス感染症は全国的に拡大し、誰しも経験したことのない状況が続いている。われわれが発信する情報は、的確かつ時宜を得たものであることが求められている。開かれた医師会として、さまざまな情報を発信していきたい」…。

 「会長の強い思いで実現しました」と医師会の理事が語った会見。冒頭の2分ほどの会長あいさつにも、それが現れた。今後、2カ月に1度の頻度で、開催していくという。

学び、相談できる場 医師会は〝第二の医局〟

 一つ、会員に願うことがある。「政治に関心を持ってほしい」。マスクがない、アルコールがない。そんな中で、2月以降、一医師としても、診療を続けてきた。

 自身のクリニックを受診した患者の異変に気づいたことで、PCR検査、さらには市内1例目、2例目になる患者を感染症指定医療機関につなげたが、奮闘するスタッフたちを前に抱いた「なぜ、最前線の医療者に防護のための備品が届かないのか」との疑問、憤りは、今も残っている。

 新型インフルエンザの教訓は生きていたのか、この危機は想定されていたのか─。「制度や法律をつくるのは政治。批判や不満を言うということでなく、政治をよく知ろうとし、自らの1票の先を考えていくことが必要で、今はそのよいチャンスなのではないでしょうか」

 新規入会の医師には必ず、「医師会は第二の医局。いろいろなことが学べるし、集患やスタッフの採用・育成などの悩みも仲間に相談できる。楽しんでくださいね」と呼びかける。今は、その多くの仲間から、激励の声が届く。「だからこそ、全力で頑張りたいと思います」

一般社団法人 福岡市医師会
福岡市早良区百道浜1-6-9 ☎092-852-1500(本部事務局)
https://www.city.fukuoka.med.or.jp/

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