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需要・情勢を読み運営の戦略を練る

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聖マリアンナ医科大学病院
病院長(おおつぼ・たけひと)

1986年聖マリアンナ医科大学医学部卒業。東京女子医科大学消化器外科講師、
聖マリアンナ医科大学外科学消化器・一般外科部門教授、同大学病院副院長などを経て、
2020年から現職。

 新病院建設プロジェクトが進む聖マリアンナ医科大学病院。4月に就任した大坪毅人病院長が、新リーダーとして今、考えていることとは。

医療安全のカギはコミュニケーション 病院長室のドアは「開けっぱなし」で

 就任後、職員にまず伝えたのが、医療安全の重要性。職種や職歴に関係なく、全員で医療安全を追求する姿勢を、明確に打ち出した。

 背景には、2017年から3年にわたって医療安全管理責任者を務めた経験がある。
 「報告される『ヒヤリ・ハット』の事例を検証すると、必ずと言ってよいほどの頻度で、何らかの前兆がありました」。ささいなことだと思って見過ごしがちな異変や違和感を、遠慮せずに口にし、話し合える組織づくりが大事だと考えるようになったと言う。

 そのための方策の一つが、あいさつの推進。「顔見知りになれば話もできるし、互いに心を開いていく」と自らも積極的に声をかける。

 さらに、病院長室のドアは、基本的に「開けっぱなし」。職員が声をかけたり、相談のために訪れたりしやすい環境を…。そんな思いが込められている。

進む「50周年記念事業」 新入院棟が2年後に完成

 聖マリアンナ医科大学は1971年開設。病院はその3年後に開院した。現在、大学の50周年記念事業として、新病院建設プロジェクトが進んでいる。

 プロジェクトでは、入院棟とエントランス棟の新設、外来棟の改修を計画。すべての工事を終えるのは2026年度の予定で、手術室の増室を含む、施設の高機能化や拡充を目指す。

 2022年度の開設を目指すのは11階建ての入院棟。2階にICU(集中治療室)やHCU(高度治療室)、CCU(心疾患集中治療室)などを集約したのが特徴で、1階に救命救急センター、3階には手術室を設置する。

 同院には集中治療を実施する病床が約100床あるものの、現状はCCU、GCUなどそれぞれが別フロアに分散している。

 「複数の疾患がある高齢患者の増加もあり、診療科間の連携は必須。集中治療に関する部屋をワンフロアに集約することで、横断的に関与するスタッフの移動時間短縮、情報交換の活発化なども期待できると考えました」

 人材の育成にも力を入れる。2019年8月、同院に「看護師特定行為研修センター」を開設した。「特定行為」として定められている38行為すべての研修をそろえ、急性期の医療機関で、自律的にチーム医療を実践できる特定看護師の養成を目指す。

 「医師の働き方改革を進めていく上で必要となる特定看護師へのタスクシフティングが、よりスムーズになるのでは、という期待感もあります」

能登半島で生まれ育つ 好きだった ものづくり

「小さな頃は、工作など、手先を使う作業が好きでした」

 出身は能登半島の最先端にある石川県珠洲市。木で作られた巨大な切子灯籠を担ぐ「キリコ祭り」で知られる地域だ。祭りの時期には、きりで木材に穴を開けるなどして、灯籠の模型を木工細工で作った思い出がある。少年時代の楽しみの一つだった。

 医師という職業に憧れを抱くようになったのは、高校1年生の時。父親の病気がきっかけだった。

 「父の手術日、私はいつものように学校へ行き、授業を終えてから病院へと向かいました。『父は大丈夫なのだろうか』と、不安な気持ちをずっと抱えていたのですが、私を見た主治医の先生が、『手術は無事に終わりましたよ』と言ってくださった。その言葉が、本当にうれしく、ありがたかったのを、今も覚えています」

 医学部での実習で、消化器外科医の手術を見学し、手技のすばらしさに魅了された。「手先を使うことが好きだということも、根底にあったかもしれませんね」。技術を身につけたいという思いもあったという。

大事なのは戦術+戦略 病院運営にも生かしたい

 消化器外科医として、長年、手術の精度を上げることを常に考えてきた。若手の頃は、手技、医療機器の扱い方などの技量を上げることに力を注いだ。

 しかし、手術を続けるうちに、「自らの手技の速さや精度などは、手術の成否を決める一つの『戦術』ではあるものの、すべてではないことを、次第に理解するようになりました」

 「事前の準備、術中のチームワーク、術後管理といった『戦術』を、総合的、中長期的にとらえた『戦略』が重要で、それらが結びついてようやく手術の成功につながると考えるようになった」と振り返る。

 「社会情勢や医療ニーズを読み解き、各部署の戦術から、総合的な戦略を組み立てて、職員と共に実行したい」。これまでの経験を、病院運営にも生かしていきたい考えだ。

聖マリアンナ医科大学病院
神奈川県川崎市宮前区菅生2-16-1 ☎️044-977-8111(代表)
https://www.marianna-u.ac.jp/hospital/

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