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難しさ増す糖尿病治療 模索しながらアプローチ

難しさ増す糖尿病治療 模索しながらアプローチ

大分大学医学部 内分泌代謝・膠原病・腎臓内科学講座
教授(しばた・ひろたか)

1988年慶應義塾大学医学部卒業。米ベイラー医科大学研究員、
社会保険埼玉中央病院(現:JCHO埼玉メディカルセンター)内科医長、
慶應義塾大学専任講師などを経て、2013年から現職。

 新型コロナウイルス感染症が世界的に広がりを見せる中、生活習慣が変化し、結果として糖尿病など生活習慣病が悪化するケースが増えている─。そう警鐘を鳴らすのは、大分大学の柴田洋孝教授。オンライン診療や新たな機器の導入などを通じ、難局を克服しようとしている。

─新型コロナの広がりが糖尿病患者に与える影響は。

 多くの職種にテレワークが普及し、体を動かす量が減っている傾向にあります。糖尿病患者は非糖尿病患者と比較してコロナによる死亡リスクが高いとの研究もあり、外出を抑制している患者も多くいますし、食事習慣にも変化が起きています。その結果として糖尿病の治療が難しくなっています。生活習慣病の一つである糖尿病は生活習慣のコントロールが基本にもかかわらず、そこが根底から変化してしまっているのです。

 それに加え、通院も途絶えがちになります。新型コロナウイルス感染症の患者数だけが発表されていますが、生活習慣病も追いかけるように悪い状況になっている印象です。感染症は生命に直結するので皆さん気にしますが、糖尿病などのコントロールは患者さんのモチベーションも個人差が大きいので、今の状態だと生活習慣病の管理の不良が爆発的に広がってしまう可能性が否めない状況にあると分析しています。

─それを受けて、現在、取っている対策は。

 できることを考えていかないといけません。まずは、治療の中断が絶対に起こらないようにすることが第一です。例えば「お薬を出すので2カ月後に予約しましょう」となったとき、患者さんの手元に10日分の薬が残っていれば、患者さんは10日分減らした薬の処方を希望されます。薬を余らせないように、と考える患者さんが圧倒的多数でそれは当然のことです。

 ただ、現在はコロナ禍です。患者さんの体調不良で急に病院に来られなくなったり、病院が外来診療を制限したりする可能性は、常にあります。そのため少なくとも1〜2週間分多く薬を処方するようにしていますし、患者さんにも理解いただけるよう説明しています。糖尿病の治療は中断すると、反動で急激に悪化するケースも起こり得ます。そのリスクは、なるべく抑えたいと考えています。

 薬に関しては他に、患者さんが指定した薬局に、われわれが処方箋をファクスで送るなどの対応をしています。一気に浸透する状況ではありませんが、徐々に増えていけば良いと考えています。

 運動習慣についても、大半の方はどう頑張っても変わってしまっているという印象です。血糖値は安定しているものの体重が増えてしまった方については、体重が増えにくいタイプの薬を処方して様子を見るなど、治療も変化に応じて修正を加える必要もあるでしょう。

―今後は。

 糖尿病外来では血糖値を目安に見ますが、一番大事なのは合併症をいかに抑えるか。特に、透析につながりかねない糖尿病性腎症に注目が集まっており、大分県では県と医師会と大分大学の3者による糖尿病性腎症重症化予防専門外来をスタートさせました。面積が広く専門医不在のエリアもある大分県をカバーするための取り組みです。この糖尿病性腎症重症化予防専門外来では、今後、オンライン診療を取り入れる計画もあります。

 新たな機器の活用も有効かもしれません。上腕にパッチを貼るタイプの持続血糖測定機器があります。1〜2カ月だけでもリアルタイムで血糖値がわかる「見える化」を体験するだけで、治療に対する意識が変わる可能性があります。あくまで投薬は補助的な要素で、大事なのは生活習慣。そこにアプローチしていく必要性は変わりません。


大分県由布市挾間町医大ケ丘1―1
☎097―549―4411(代表)
https://www.med.oita-u.ac.jp/naika1/

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