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離島で新型コロナ発生 長崎県一体となり対応

離島で新型コロナ発生 長崎県一体となり対応

長崎県病院企業団 長崎県壱岐病院
向原 茂明 院長(むこうばら・しげあき)

1976年北里大学医学部卒業。
国立病院(現:独立行政法人国立病院機構)長崎医療センター副院長、
長崎県島原病院院長、長崎県庁福祉保健部参事監などを経て、2015年から現職。

 玄界灘に浮かぶ離島・壱岐の救急・感染症医療を担う長崎県壱岐病院。2020年3月に新型コロナウイルス感染症の患者が発生したその時、どう対応したのか、向原茂明院長が語る。

─離島での発生の状況は。

 壱岐で新型コロナウイルス感染症患者が発生したのは3月14日のこと。長崎県内初、全国でも離島での発生は初でした。当院は、離島中核病院として年間1000台の救急車を受け入れる救急指定病院であり、感染症指定病院でもあります。結核病床が6床、感染症病床も4床あります。

 2月ごろから、福岡に近い離島であることから早晩発生することを想定し、新型コロナ感染症対策を訓練も含めて準備を進めていました。2月下旬には、発熱外来も別棟会議室に設置。患者さんは近畿地域からの来島で、濃厚接触者としてフォローされていた方。幸い、島内での滞在期間が短く、接触者も数人でした。

 初めてのことで、市当局や保健所、当院スタッフにもかなりの緊張とストレスがありました。しかし、徐々に入院隔離に従事した医療スタッフも落ち着きを取り戻し、濃厚接触者検診や観察も問題なく終了。この間、保健所や行政との連携も、うまく図れるようになったと思います。この間は、入院患者を抑制し、不急の手術を延期。外来患者さんも減少しました。

─2例目は。

 感染された患者さんは3月末に無事退院。安全宣言を出す準備をしていた折、突然4月1日に壱岐市内2例目の患者さんが発生。長崎県内5例目です。

 今回は、市内在住の方で、高齢者との接触が多く、さすがに、この状況をうまくコントロールできるか不安が先立ちました。5人の感染が確認され、次々と入院。トータルで濃厚接触者146人のPCR検査を実施しました。入院患者さんは97歳を筆頭に、69歳以上の高齢者ばかり。重症化を懸念し、呼吸困難を訴える患者さんは、自衛隊ヘリで長崎大学病院への転院を行いました。

 同時に、長崎大学病院から、2人の専門医が派遣され、発熱外来など感染対策の助言をいただきました。PCR検査が迅速に行えない環境で苦慮していたところ、長崎大学で開発されたLAMP法の検査機器一式が持ち込まれ、検査が一気に進みました。

 また、国立病院機構長崎医療センターから派遣された総合診療医に、常勤医師のバックアップをしていただきました。長崎県一体となり、医療基盤がぜい弱な離島でも辛うじて大きな問題なく、新型コロナ感染症に立ち向かえたと思います。

─感染症対策の教訓は。

 今回の経験を通して、多くの教訓を得ました。まず、準備を怠らないこと、そして、いかに正しい情報を共有し、正しく恐れ、自律的に行動できるか。誰も経験がないことに立ち向かうには、準備と訓練しかありません。準備については、感染制御看護師を中心に、診療マニュアルの作成、感染防御機材の確認、感染防護服脱着訓練、発熱者の動線確認などについて会議を重ね、対策や手順の確認を行いました。

 私は、8年前当院に赴任して以来、職員に自律的行動を求めてきました。この間、5人の認定看護師をはじめ、多くのメディカルスタッフが、PSW、MSW、退院支援看護師、患者相談看護師として育ちました。現在では、患者支援センターだけでも10人のスタッフが、あらゆる課題に対して、自律的に業務を行っています。このような組織体になることで、未知の感染症との戦いに臨んでいけると確信を持ちました。

 この戦いは、まだまだ先が見えませんが、私たち職員を強く団結させてくれてもいます。さらに、多くの人々と手を結び、先に進んでいきたいと思います。

長崎県病院企業団 長崎県壱岐病院
長崎県壱岐市郷ノ浦町東触1626
☎0920─47─1131(代表)
http://iki-hospital.jp/

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