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防止策とっても医療崩壊 危惧

防止策とっても医療崩壊 危惧

 新型コロナウイルス感染症(COVID–19)の拡大は5カ月目に入り、世界200を超える国・地域で感染者412万人、死者28万4000人を超えた。国内では感染者1万5874人、死者643人(クルーズ船を除く)となった。

 本紙は4月末〜5月初めにかけ、医療者に緊急アンケートを行った。9割前後が院内感染の不安を抱え、所属する医療機関で防止策をとっているものの、医療崩壊につながると危惧している現実が浮かび上がった。=いずれも5月12日現在

 アンケートはメールで行い、全国各地の医療施設(感染症指定医療機関、病院、診療所、歯科診療所)幹部の医師、看護職、その他の職種計50人から回答を得た。

院内感染の不安 94%

 「院内感染の不安」を尋ねたところ、「ある」が94%に達した。「ない」は4%、「どちらとも言えない」は2%だった。

 その理由として、マスク・ガウンなど防護具の不足、陰圧部屋・専用病棟など設備がない、感染症への標準予防措置策を全職員が熟知していないなどが挙げられたが、最も多かったのが受け入れる患者への戸惑いだ。

 「救急指定病院なので、急性期搬送された患者さんがコロナに感染している可能性がある。その場合でも救命措置を放棄できない」「他疾患で受け入れざるを得ない多くの患者さん全員にPCRを事前にはしてくれない」「感染疑いの患者さんに対応する職員が多くなった」「無症状の感染者が受診したり、入院する可能性がある」。さまざまなケースで施設に入ってくる患者さんに対し、警戒と知識が欠かせない。

 「すでに院内感染が起きている」と答えた医療者もいた。

 「不安はない」と答えた医療者は、「感染症が専門。標準防護策をしっかりやっている」「患者さんを減らして、待合室を混まないようにしている」と理由を挙げた。

防止策はとっているが不安 82%

 「院内感染の防止策」では、「防止策をとっているが不安がある」が82%に上り、「十分にとられている」16%、「とっていない」2%だった。

 十分にとられていると答えた医療者は「手術などが予定されている患者さんには胸部CT検査、疑わしい患者さんにはもれなくPCR検査を行っている」「コロナ専従班がある」「病院に入るすべての人に検温、発熱外来、陰圧の感染病棟、HEPAフィルター多数設置、防護具工面、感染対策チーム活動、情報周知」や「ゾーニングの徹底」などの取り組みを挙げている。

 一方、「防止策をとっているが不安がある」と答えた人の医療機関では医療資源が乏しい中、患者さん、医療者が持ち込む、院内で感染拡大する3ケースに分け、あの手この手で対応している。「発熱トリアージ外来を設けてスクリーニング」「家族の面会は禁止、スタッフの休日の外出自粛、スタッフの毎日の検温」「出勤前の検温」「時差出勤、ソーシャルディスタンスの確保」「疑いのある患者さんは一つの病棟に集めている。清潔汚染の区域を区切っている」。

医療崩壊につながる 88%

 「院内感染から医療崩壊につながると思うか」と聞いたところ、「思う」が88%に達し、「防止策は十分にとられている」と答えた医療者の中にも「医療崩壊につながると思う」と回答した人が3人いた。医療現場が「院内感染→」と強い危機感を抱いていることがわかった。

 他に「思わない」8%、「国・行政次第」が4%だった。

 「つながると思う」と答えた医療者からは「院内感染がスタッフの離脱につながり、ぎりぎりの人数で対応していた医療の提供ができなくなったり、安全性が担保できなくなり、さらに院内感染が広がる悪循環に陥る」と悲鳴が聞こえてくる。「部署に1人出ると全員自宅待機」となり、「病院閉鎖に追い込まれる」。「職員の疲労と離職、外来中止で収入減となる恐れ」と病院経営の危機もささやかれている。

 「地域の基幹病院で院内感染が起こると、地方では受け入れてくれる病院がなくなり、離れた地域に行くため、救急要請が増加する」と、一医療機関にとどまらず、地域医療崩壊になるとの指摘もあった。

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