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関西医科大学 整形外科学講座 患者の負担を軽減する新たな治療を開発

関西医科大学  整形外科学講座 患者の負担を軽減する新たな治療を開発

主任教授(さいとう・たかのり)
1983年関西医科大学医学部卒業。米アイオワ大学神経内科、
関西医科大学整形外科学教室准教授、同大学総合医療センター整形外科病院教授などを経て、
2017年から現職。同大学附属病院副院長兼任。

 関西医科大学整形外科学講座の4代目主任教授を務める齋藤貴徳氏。2021年4月で4年を迎え、医局員の未来を見据えた講座運営、患者の負担を軽減する新たな治療開発に取り組んでいる。

―入局者が増えています。

 整形外科は外来患者が多く、手術も頻繁で、勤務時間が長くなり、研修医や若手医師の中には厳しいイメージがあったようです。当講座も入局者が毎年1人前後という時期もありました。こうした状況を打開するため、就任後にまず取り組んだのが同門会との連携の強化です。

 研修医時代からお世話になってきた先生方に支援をお願いし、独自に開催している研修医説明会の費用支援をはじめ、バックアップ体制が実現。入局者も増加し始め、2020年は8人になりました。

 教育システムの改革にも着手しました。研修医が専門医資格を取得するには、初年度は大学病院で、2年目以降は関連病院で研修し、4年目で試験を受けて合格することが必要です。

 当講座はこれまで、資格を取得した研修医が関連病院でそのまま仕事を続けるケースが少なくなく、スキルアップの機会喪失や意欲消失につながっているのではないかと懸念していました。そこで、研修医を大学の医局に戻すシステムを整え、専門性の高い整形外科医の育成に努めています。

―新しい治療の開発にも積極的です。

 専門である脊椎外科では、神経など生体の中で起こる電気現象などを研究する電気生理学に基づいた「術中モニタリング」を取り入れています。脊椎手術は術後のまひなど神経障害が生じる場合があります。これを防ぐため、頭に装着した電極から微弱な電気を脊椎に流し、神経機能にダメージを与えていないか、モニターの波形から客観的に評価、確認するものです。

 日本臨床神経生理学会の術中脳脊髄モニタリング小委員会の委員長も務めており、術中モニタリングのさらなる普及を目指し、2018年に「術中脳脊髄モニタリング認定医・認定技術師制度」を創設しました。

 知識や技術の習得が一定レベル以上に達した医師や技術師を学会として認定するもので、これにより術中モニタリングの普及に弾みをつけたいと考えています。

―MlSt手術の普及にも尽力されています。

 私を含め5人の医師によって結成した「MlSt(ミスト)研究会」は2019年、「MlSt学会」として新たなスタートを切り現在、会員が600人ほどに増えています。

 MlStは最小侵襲脊椎安定術の略称です。脊椎変形などを矯正する手術は従来、皮膚を大きく開き、筋肉を剝がし、骨を削り、スクリューを入れる、極めて侵襲の大きなものでした。

 これに対してMlSt手術は、ごく小さな切開だけで、皮膚の上から正確にスクリューを挿入できます。患部をCTで観察しながらガイドワイヤーを挿入し、中空のタッピングねじを通して脊椎にネジ穴を形成。そこにPPSという中空スクリューを埋め込みます。

 ほぼ出血がなく高齢者にも実施でき、これまでの最高齢患者は95歳。手術適応のパラダイムシフトが起こると確信しています。

 2020年後半には、脊椎手術用ロボットアームとナビゲーションを一つのプラットフォームに組み合わせた手術支援ロボット「エクセルシウスGPS」も薬事承認されました。

 特徴は、術前プランニングのCT画像と、手術中の実際の画像をマッチングさせると、トロッカーを装着したアームが最適な位置まで自動的に誘導され、術者はそれに従いスクリューを挿入するだけ、という点にあります。

 技術的ハードルを下げてくれるマシンの登場により、MlSt手術のいっそうの浸透を期待しています。


大阪府枚方市新町2―5―1 ☎︎072ー804ー0101(代表) 
http://www7.kmu.ac.jp/kansai-ortho/

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