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開講15周年 今後は人材育成に力を注ぐ

開講15周年 今後は人材育成に力を注ぐ


教授(ばば・ひでお)

1984年熊本大学医学部卒業。
米テキサス大学医学部内科腫瘍学講座留学。
国立大分病院(現:大分医療センター)厚生労働技官、
国立病院九州がんセンター消化器外科医長、
九州大学大学院医学研究院臓器機能医学部門外科学講座消化器・
総合外科学分野助教授などを経て、2005年から現職。

 今年で開講15周年を迎えた熊本大学消化器外科学講座。学内は臨床研究棟新設とともに中央手術室増設などが予定され、さらなる発展が期待される。馬場秀夫教授に、同講座の特徴や現状などについて話を聞いた。

―熊大消化器外科の理念とは。

 日本は高齢化の時代を迎え、がんに罹患(りかん)する高齢者が増えています。中でも、消化器がんにかかる人の数は、がん患者全体の約半数に上ります。総人口は減っているのに、消化器がんにかかる人は多いのが現状です。

 当院は県内唯一の大学病院。県内のほぼ全域の病院と連携し、外科医を派遣しています。地域医療を守るために、派遣する医師のクオリティーを保ち、高める責任があると考えています。最先端かつ、一人一人の患者さんにベストの治療を選択し、提供できる能力と技術を兼ね備えた外科医を育成する。これが当講座の目標です。人材を育成するためには、県内だけでは不十分ですから、国内外への留学も推進しています。

 同時に患者さんや家族の心に寄り添い、支えとなれる医療の展開を考えています。知識と技術に偏ってしまいがちですが、そうなると医療の本質が損なわれます。日頃の診療ではそうしたことも大事にしています。

 ところで、2022年は熊本大学に外科ができて100年に当たります。その2022年の4月に熊本(熊本城ホールなど)で「第122回日本外科学会学術集会」を開く準備を始めたところです。

―現在の研究、臨床面についてお聞かせください。

 全国的に外科医が減っており、臨床も忙しくなっています。研究を次々に進めるのは難しくなっているのですが、研究と臨床は車の両輪。治療法、診断法などの進歩は一定の研究成果があって初めて生まれます。基礎研究ならびに臨床研究には、力を入れています。

 現在、特に注目しているのは、がんの免疫療法。本庶佑先生がノーベル賞を取られましたね。それから、がんと腸内細菌、間質の関係性についてです。研究論文も多く出しています。

 臨床に関しては近年、外科の治療法自体が変化してきました。内視鏡を用いた手術が増え、低侵襲手術が発達し、ロボット支援手術の保険適用が広がりました。当科もこの手術をする例が増えています。

 従来の低侵襲手術では、胃がんや大腸がんなどの消化管が主だったのですが、範囲を広げて肝臓、胆のう、膵臓がんなどにも適用しています。これらの手術に並行して、抗がん剤治療、放射線治療などを補完的に用い、治療成績を上げる努力をしているところです。

―医局の人事はどのようになさっていますか。

 当院の関連病院は県内ほぼ全域にあり、県外にも福岡県、宮崎県の一部にあります。最近は出身大学で臨床研修をする人の数が減り、都会の市中病院で研修を希望する人が多いですね。

 この傾向は、その後の人事異動の際にもみられます。多くの人は都会の病院に行きたがるのですが、私の経験や考え方からすると、それが必ずしもいいとは限りません。要は考え方次第。向上心さえあればどこででも学べます。

 ただ、人それぞれ個人的な事情もあります。医師としての希望や家庭の事情、健康上の問題などさまざまです。そうしたことを考慮して派遣先を決めるために十分な話し合いをする時間をとり、また、一定の評価基準を設け、それに報いるかたちも取っています。

 私の残任期間も少なくなりました。今後はこれまでの総仕上げとして、社会に貢献できる医師など人材育成に注力していくつもりです。指導する人間がしなければならないのは、自分たちが到達したレベルを超えていく人材を育てることです。そのようにして、うまく次の世代にバトンタッチしていけたらいいですね。

熊本大学大学院 生命科学研究部消化器外科学
熊本市中央区本荘1―1―1
☎096―344―2111(代表)
http://kumamoto-gesurg.com/

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