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開かれた病院で つながり大切に

開かれた病院で つながり大切に

愛知県精神医療センター
高木 宏 院長(たかき・ひろし)
1990年岐阜大学医学部卒業。名古屋大学医学部附属病院精神科、
愛知県精神医療センター副院長などを経て、
2021年から現職。


 2018年、「開かれた病院」をコンセプトに生まれ変わった愛知県精神医療センター。副院長などを経て4月に院長に就任した高木宏氏が目指すのは、風通しの良い組織づくりだ。



急性期を主体に地域生活も支援

 愛知県精神医療センターの前身である同県立城山病院に入職して24年。高木氏は県の精神科医療の中核を担う組織で、患者と向き合いながら急性期治療病棟やスーパー救急病棟を立ち上げ、長期入院患者の退院促進などにも尽力してきた。

 同時に、院内に事務局がある「希望会」の運営にも携わった。県内の精神医療・福祉サービスの利用者らがスポーツや文化交流を通じて社会参加を目指す組織で、「会の交流の場で、病院とは違う患者さんの普段の姿を見て、やはり地域で過ごすことができたら一番いいなと実感しました」と語る。それ以来、不調があれば早めの入院で治療をしっかり行い、退院後は再入院せずに済むよう適切にケアすることの実践に努めてきた。

 病院組織としても目指す方向性は同じで、患者が地域に早く戻れるように取り組んでいる。2020年度の平均在院日数は73・6日に短縮し、入院10年以上の患者も減少して5人以下に。15対1だった精神病棟入院基本料は、9月から13対1になった。

 退院後のフォローを担うのは、同院のACT(包括型地域生活支援プログラム)の多職種で構成されるチーム。定期的に家庭訪問し、生活支援を行っている。

 病床回転率が上がったことで医師の負担が増している現状もあり、「人材不足は頭の痛い問題ですが、県の病院事業庁と話し合いながら、なんとか改善したい。それが私の仕事の柱です」。


依存症治療の充実 コロナ収束後に展開


 同院は、県の精神科救急医療システムの後方支援や、医療観察法に基づく入院・通院治療を担う他、社会的弱者ら民間病院では受け入れが難しいケースをカバーしている。

 三つの専門外来のうち、特徴的なのが成人発達専門外来だ。「ニーズは高く、予約日の受け付け開始後、1時間で予約が埋まるほど。デイケアでは自己理解を深める他、困りごとを話し合い、仲間づくりを進めるプログラムも実施しています」

 現在、検討を進めているのは、新型コロナウイルス感染症収束後の展開だ。収束すればコロナ専用に転用している病棟は、依存症治療に使用する予定という。修正型電気けいれん療法など地域の医療機関から要請が多い治療に関しても、収束後にスムーズに要請を受けられるよう地域連携室の仕組みを整えている。


患者の思い大切に地域交流も深める

 重度の患者について、本人の思いをより尊重できるような取り組みにも着手し始めた。保護者だけでなく、できる限り本人を交えて治療方針をどうしていくかを話し合うようにしている。さらにスタッフ側も、主治医や担当の看護師だけでなく、看護師長や作業療法士、ケースワーカーら多職種による話し合いを重ねて、治療方針を決めている。

 ここ数年で患者と家族、スタッフが話し合うケア会議の数は倍増しているという。「支える人のつながりは大きな力になり、患者さんには『これだけの人が気に掛けてくれているんだ』と実感してもらえるはず。組織としての風通しもより良くなると思っています」

 「開かれた病院」を目指して新病院建設時に整備された緑豊かな広場は、今では地域住民が犬の散歩や子どもを連れて訪れる憩いの場となった。コロナ収束後には、病院文化祭やバザーなどを再開して、さらに地域との交流を深めていく。



愛知県精神医療センター
名古屋市千種区徳川山町4-1-7 ☎052-763-1511(代表)
https://www.pref.aichi.jp/seishiniryo-center/

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