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金沢大学大学院医学系研究科 集学的治療分野泌尿器科 多様な治療法を駆使、診療・研究両立

金沢大学大学院医学系研究科 集学的治療分野泌尿器科 多様な治療法を駆使、診療・研究両立

溝上 敦 教授(みぞかみ・あつし)
1987年産業医科大学医学部卒業。
米ウィスコンシン大学留学、産業医科大学病院泌尿器科助手などを経て、2016年から現職。

 金沢大学の泌尿器科学教室は1955年に設立され、悪性腫瘍や感染症、排尿障害に加え、生殖医療、男性更年期に関わる「アンドロロジー」を重要な領域として位置付けている。講座を率いる溝上敦教授に特色と今後の展望を聞いた。


─講座の概要について。

 泌尿器科は外科的な手術だけでなく、悪性腫瘍や排尿障害、感染症、生殖医療、アンドロロジー(男性学、雄性学)まで多岐にわたる分野を扱う科で、診断から治療、時にはターミナルケアの直前まで関わる科でもあります。

 臨床面では、基幹病院として最新の治療を提供できる設備を整えています。特に、前立腺がんをはじめとする悪性腫瘍については、抗がん剤や免疫チェックポイント阻害剤といった化学療法、ホルモン療法などの内科的治療と外科的治療、放射線治療を組み合わせ、集学的治療でがんの根治を目指しています。放射線治療では、高線量の放射線を当てて1度の照射で行う高線量率組織内照射を実施している国内でも数少ない施設です。

 手術支援ロボット「ダビンチ」を用いた手術の見学施設にも認定されていて、ロボット補助下の前立腺全摘除術を積極的に実施していますが、手術にも限界はあり、再発する患者さんがいるのも事実。多くの選択肢から最善の選択をすることが大切です。

 研究面では、世界に発信できる質の高い研究を目指しています。アンドロロジー分野であれば、Y染色体の遺伝子変化と男性不妊といった基礎研究や、男性更年期の臨床研究、感染症に関しては、ヒトパピローマウイルス(HPV)と発がんの関連性の研究をしています。

 悪性腫瘍については、主に前立腺がんの原因や転移、薬剤開発に関わる基礎研究のほか、前立腺がん患者を対象にした臨床研究をしています。膀胱がんと腎がんでは、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤などの効果、副作用を研究しており、多施設共同の臨床研究にも力を入れています。

─重視していることは。

 入局予定の人には大学院に進学後、基礎研究を学んでもらっています。臨床と研究を両立するためには、基礎研究を経験して技術を身に付けなくてはなりませんが、我々は教室の中に基礎の研究室を設け、DNA、RNAなどに関わる作業も自分たちでやっています。最先端の基礎研究を行う外部の教室に国内留学するのではなく、何とか自前でやる。これが強みです。

 泌尿器科は外科的な側面が大きいので、早く手術をしたい人と思う人もいるでしょうが、手術は大学院卒業後に何年、何十年とできます。患者さんに対して思いやりを持って接することは大前提として、古くから医者は科学者だったのですから、科学的な物事の考え方をまずは身に着けてほしいと考えています。

 1月には、「超高齢化社会とアンドロロジー」をメインテーマに、「日本アンドロロジー学会第39回学術大会」を金沢で開催しました。男性更年期の患者さんにどうアプローチするか、人口ピラミッドの底辺を広げるために不妊の患者さんを少しでも減らすことができないかを議論し、ウェブ参加も含めて200人以上に参加していただきました。アンドロロジーは泌尿器科が果たすべき役割が大きい重要な分野だと考えています。

─今後は。

 前立腺がんの早期の転移発見を目指して核医学分野との共同研究を始動させる予定で、おそらく日本初となるのではないかと考えています。

 医局としては、基礎研究をベースに臨床研究を行い、患者さんに合わせた最善の治療を届けられるよう努力します。悪性腫瘍を少しでも改善させるのはもちろん、患者さんのQOLを重視し、安全かつ最新の医療を提供することをモットーに進めていきます。


金沢市宝町13─1 ☎︎076─265─2000(代表)
https://kanazawa-univ-urology.jp/

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