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重要性を増す回復期のリハビリ

重要性を増す回復期のリハビリ

  三澤  吉雄 院長(みさわ・よしお)
1978年自治医科大学医学部卒業。行政組合立飯綱病院、カナダマギール大学留学、
自治医科大学心臓血管外科学講座教授などを経て、2018年から現職。


 栃木県は、全国で脳卒中死亡率が男女とも高い地域であり、予防からリハビリテーションまでさまざまな対策が推進されている。回復期リハビリテーション病棟(96床)を持つ宇都宮リハビリテーション病院は、患者のADLの向上、早期の社会復帰に向け、集中的なリハビリに取り組んでいる。

―回復期リハビリテーションの役割について。

 かつては、急性期のリハビリテーションが重視されていた時代がありましたが、2000年4月、回復期リハ病棟が創設されたことで、急性期リハと回復期リハの機能分化が明確になりました。

 急性期リハは早期離床を目指したものであり、患者さんが在宅復帰できる状態まで回復させるのは、回復期リハの役目です。したがって、回復期リハの入院期間は、急性期リハに比べて長い期間を要します。患者さんが在宅復帰できるかどうかは、回復期リハが勝負といってもよいでしょう。

 回復期リハでは集中的なリハを行いますが、当院を含めた巨樹の会グループでは、1日3時間、365日休みなしのリハを実施しています。

 当院のリハスタッフ(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士など)は、多くが20代のスタッフです。高齢の患者さんにとって、孫ほどの年齢のスタッフと一緒にリハに取り組むことが、モチベーションの向上につながっていることも多いと感じます。

 ある90代の骨折患者さんは、退院時には骨折する前よりスムーズに動けるようになったと喜ばれていました。こうした患者さんの笑顔が、スタッフのやる気にも結びついています。

 また、リハの成果は、在宅復帰率など目に見える数字でも実感できます。当院の2018年度の在宅復帰率は82・7%であり、国が掲げる回復期リハの基準をクリアしています。こうした高い数字もスタッフのモチベーション向上につながっています。

―現在、積極的に取り組んでいることは。

 私が若いころは、骨折の患者さんが術後、在宅復帰するまで半年ほどかかるのが「普通」でした。今は、回復期に適切なリハを行えば1~2カ月で在宅復帰できるわけです。こうした回復期リハについて、市民にも医療者にも、もっと知ってもらいたいと考えています。

 当院の地域医療連携室は、急性期病院や開業医、施設に対し、当院のさまざまな情報を提供して、緊密な連携に役立てています。

 また、現在、当院に患者さんを紹介していただいている急性期病院の整形外科医、神経内科医の先生方に週2~3回、病棟診療をお願いしています。診療を通して、当院のリハの内容や成果を見ていただくことで、回復期リハへの理解も深めていただけると期待しています。その他、年に数回、急性期病院の先生方を招いて、当院の取り組みや実績を紹介しています。

 地域の方に当院を知っていただくことも必要です。回復期リハに特化した当院にある外来は「もの忘れ外来」のみ。地域住民が身近に感じにくいのではないかと思うのです。そこで、市民を対象にした健康に関する講習会を開催したり、小中学生に当院のリハを見学してもらったりして、回復期リハを知ってもらう機会を増やしています。また、地域の盆踊り大会などの催しにも積極的に参加し、住民とのコミュニケーションも深めています。

 最近、急性期病院から心臓リハの要望が増えています。近年、心血管疾患が増加していることを考えれば、心臓リハの必要性は今後ますます高まっていくと思われます。

 ただ、現在の病床数では導入が難しいのが実情です。将来、増床が可能になるようなことがあれば、心臓リハも含め、在宅復帰を支えるさまざまな取り組みを行いたいと考えています。それまでは、できることでスキルアップを図るよう、努力を重ねていきます。


一般社団法人巨樹の会  宇都宮リハビリテーション病院
宇都宮市御幸ケ原町43─2
☎028─662─6789(代表)
http://www.utsunomiyarh-hp.jp/

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