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運動は認知障害を予防する? 高齢者の生涯スポーツについて 藤本繁夫・相愛大教授語る

運動は認知障害を予防する? 高齢者の生涯スポーツについて 藤本繁夫・相愛大教授語る

 さまざまなスポーツの国際大会が、国内で開催され、スポーツ熱が高まっている。超高齢社会における健康寿命延伸のために、年齢を重ねても運動を続けることの重要性も強調されるようになってきた。
 「第45回 日本整形外科スポーツ医学会学術集会」(大阪)のシンポジウムでは、長年スポーツ医学に携わってきた藤本繁夫氏(相愛大学人間発達学部発達栄養学科教授)が、「高齢者の生涯スポーツ―運動は認知障害を予防する?―」と題して語った。

 藤本氏は、10人の高齢者に1から25までの数字を順に線でつなげてもらうトレイルメイキングテストを実施。同時に脳内の酸素濃度を測定し、安静時とエルゴメーターを漕ぐ運動時の結果を比較した。

 それによると「安静時には平均55秒で完成したものが、運動している時は約46秒に短縮された」という。「運動によって早く完成した人ほど酸素濃度が上がっていた」のだ。

 さらに藤本氏は高齢者と若年者に対して有酸素トレーニングを実施し、脳の血流量と学習量の相関関係についても調べたところ「血流量が上昇した人ほど学習能力が良くなった」という結果を導いた。

 マウスを使った動物実験では、水を入れた直径150㌢の桶の中に島を設置。桶に入れられたマウスが泳いで島にどれくらいの時間で到達するかを調査。運動をした群と何もしない群とを比較したところ運動群は島への到達時間が短かったという。また、これらのマウスの脳内物質を調べると、運動群の方が脳内のインスリン様成長因子、神経栄養因子が増加していた。

 どのような運動が適しているかについては国内外の論文を分析。「軽度から中等度の運動、1日30分程度の身体活動で認知機能低下の予防ができる」と藤本氏。「特にフィジカルトレーニングと認知機能を同時にするデュアルタスクトレーニングが効果的だ」とした。

 近年、山で遭難する60代、70代が増加しているという。「低酸素状態の高所では注意機能が低下しているのではないか」と藤本氏。脳機能には酸素の量が影響することから、低酸素な状態はリスクだと訴えた。「日本は世界一のスピードで高齢化が進行し、世界各国が日本の動向に注目している。東京五輪に続き、関西では2021年に中高齢者を対象としたワールドマスターズゲームも開催される。身体活動量の維持が脳機能の維持につながっていることを理解して、国民一人ひとりがスポーツを楽しんでほしい」と結んだ。

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