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進化のための土台は築いた さらに力を蓄えていく

進化のための土台は築いた さらに力を蓄えていく

独立行政法人 国立病院機構 岩手病院 千田 圭二 院長(ちだ・けいじ)
1981年東北大学医学部卒業。
国立療養所岩手病院(現:国立病院機構岩手病院)神経内科医長、広南病院神経内科医長、
岩手病院副院長などを経て、2014年から現職。

 岩手県と宮城県の県境にある一関市では、地域や職種の壁を越えた連携が不可欠だ。医療提供体制を少しずつ整備し、ベースは築き上げた。「これからも地道に進歩していく」と言う岩手病院・千田圭二院長が見つめる現状と今後は。

―地域の状況を。

 一関市は岩手県の最南部。一部の地域が宮城県の北部に突出する形状で接しており、当院がカバーする医療圏も二つの県にまたがっているのが特徴です。

 また、岩手医科大学がある盛岡市、東北大学と東北医科薬科大学がある仙台市の中間に一関市が位置しています。両市からの距離は90㌔㍍超。県境で大学から遠い。このような立地の事情から、医師の確保が長年の課題です。

 医療資源に恵まれているわけではありませんから地域医療連携の推進は非常に大きなテーマです。

 当院が柱としているのは重症心身障害と神経筋疾患の政策医療、そしてリハビリテーションの3領域。政策医療については岩手県南部から宮城県北部におよぶ広域から患者さんがお越しになります。

 リハビリテーションに関しては、脳卒中、大腿骨頸部骨折に対して一関市で形成している地域連携パスにおいて、回復期リハビリテーションを担っています。

 これら3領域はいずれも医療機関が単体で完結できるものではありません。病病連携や病診連携の構築はもちろん、介護、福祉、行政と多面的に連携を図れるよう努めています。特にセーフティーネット医療は相互に協力しながら、かつ全体の質を引き上げていくことが不可欠です。

 当院としても、地域医療連携の中でどのような機能をもった病院なのかを明確に示し、医療水準を高めていくために重症心身障害医療センター、神経筋難病医療センター、リハビリテーションセンターを編成。組織横断的な活動に注力しているところです。

―在宅へのニーズも高まっていますか。

 回復期リハの患者さんの在宅復帰率を向上させるためには、ご家族をはじめとする支援者の理解やケアの質をどれだけ充実させていけるかが大切です。

 神経難病の患者さんの中には重症度が高く、人工呼吸器を装着している方もいる。当院が開設している神経難病病棟で患者さんを受け入れるには限界がありますから、在宅療養をどれだけ維持できるかが重要です。

 そこで人工呼吸器を装着した患者さんを対象にした訪問診療、訪問看護を実施しています。また、ご家族のケアとしてレスパイト入院にも対応するほか、他の医療機関と共同でパーキンソン病の患者さんのご家族に向けた療養指導を展開するなど、在宅療養のサポートを続けています。

―今後は。

 一つは医療安全。20年ほど前に当院で起こった人工呼吸器のトラブルによる医療事故を契機に、毎年9月を医療安全月間と定め、職員の意識の向上や活動の充実を図っています。

 当時は2〜3人だった人工呼吸器装着の患者さんは現在10倍ほどに増加しました。この間、大きな事故が発生していないのは、取り組みの成果が現れているのだと捉えています。

 また、東日本大震災の影響で診療機能が大幅に制限された経験を踏まえて、2016年に免震構造の新病棟をオープン。近い将来、既存の外来棟、管理棟の建て替えも実現したいと考えています。

 そのためには、より健全な経営で成り立つ病院でなければならない。電子カルテ導入、障害者施設等入院基本料7対1の取得など、ここ数年で段階的に体制を整えてきました。最大の課題である医師や看護師の確保も見据えて、働き方改革、魅力的なキャリアパスの提示、職員の心身の健康管理など、これからは地道に力を蓄えていく時期に入っていると感じています。

独立行政法人 国立病院機構 岩手病院
岩手県一関市山目泥田山下48
☎0191─25─2221(代表)
https://iwate.hosp.go.jp/

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