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“連携は「口」から” キーワード掲げて事業推進

“連携は「口」から” キーワード掲げて事業推進

 加藤 節司 理事長(かとう・せつし)
1986年東邦大学医学部卒。
1992年島根医科大学(現:島根大学医学部)大学院単位取得後退学、
医学博士。広島市立安佐市民病院、
医療法人(現:社会医療法人)仁寿会加藤病院病院長などを経て、
2011年から現職。


 在宅復帰支援としての介護・医療サービスの強化に努める社会医療法人仁寿会。地域包括ケアシステム構築を目指して重ねてきた具体的な取り組みや、連携を円滑にするために力を入れてきたことなどについて加藤節司理事長に聞いた。

―2012年に在宅医療連携拠点事業に指定されました。

 国の在宅医療連携拠点事業をお引き受けして、改めて在宅で医療や介護を提供していく上での課題が山積していると感じました。しかし、私たちには専門職や地域の仲間がおり、彼らと協力すれば地域包括ケアシステムをつくることが十分可能であると分かったことは大きかったですね。

 この事業では〝連携は「口」から〟というキーワードを掲げました。話すことがコミュニケーションの基本というところと、人の尊厳である食の自立をサポートしていくという二つの意味での口です。

 具体的には、口腔機能について医療介護従事者の観察法を確立し、それを学んだ人にローカルライセンスを付与するという口腔ケアサポーター制度を創設しました。歯科医師会の協力を得て、座学と実習を組み合わせてサポーターを養成。口腔機能のケアにつなげていきます。

 2013年からの3年間は県の在宅医療介護連携推進事業に移り、2015年に県の後期高齢者歯科口腔健診制度がスタートしました。歯科口腔だけでなく、嚥下(えんげ)の力と栄養状態もカバーする健診で〝連携は「口」から〟のキーワードと偶然合致するものでした。


―事業主体が国から県に。

 国から県、そして市町村へと降りてきました。そのなかで市町村ごとにバラバラになってしまうのは、〝連携は「口」から〟という活動を途切れさせることになると懸念しました。

 そこで、培ってきたレガシーを残そうと邑智郡食事栄養支援協議会を設立。この協議会を核に、口腔ケアサポーター制度の継続とともに歯科口腔健診の事後措置のフローを策定し、診断からリハビリまでの体制を地域で構築しました。

 これらの事業を通じ、連携に最も重要なのは自分たちの健康なのではないか、と思い至りました。自分たちが心身ともに健康であれば、より学んで成長できる。成長できると、より良くつながることができる。

 すると、患者さんの生活の質が向上し、患者さんも自分たちもともに満足できる。それがさらなる健康につながっていく、という具合に好循環が生まれると考えました。

 自分たち自身で目標を設定し実現を図る「目標管理制度」や「心の健診制度」などの職員の「健康」と、資格取得といった職員の「成長」への支援が重要です。

 また、「つながる」という面でも、「田舎で学ぶ専門職医療教育プログラム」という医薬看栄養などの学生に合同で学んでもらう独自のカリキュラムを用意。学生、専門職の良いお手本を目指しています。


―「ホワイト500」(健康経営優良法人)にも認定。

 最初に仕事と子育ての両立支援に取り組む企業を対象とする「くるみん」に認定され、その後に島根県知事表彰制度「しまねいきいき雇用賞」を受けました。

 その頃はまだ本当にそんな賞に値することができているのかと自問自答していました。そこで、島根県医療勤務環境改善支援モデル事業を受託し、仁寿会版マネジメントシステムの制度化と運用によりPDCAによる改善を続けました。

 昨年、経済産業省のホワイト500に認定されたときは、外部評価がいただけたことに大きな喜びを感じました。私たちはこれからもへき地医療分野の社会医療法人であるという自覚を胸に、目の前におられる一人ひとりの患者さんの善き人生に貢献することで地域社会を変えていきたいと思っています。


社会医療法人仁寿会(加藤病院内)
島根県邑智郡川本町川本383―1
☎0855―72―3220(代表)
http://k-jinju.or.jp/

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