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迅速、率先した対応徹底 存在意義を地域に示す

迅速、率先した対応徹底 存在意義を地域に示す

独立行政法人地域医療機能推進機構 秋田病院
大塚 博徳 院長(おおつか・ひろのり)
1987年杏林大学医学部卒業。むつ総合病院、弘前大学医
学部整形外科学講座講師、地域医療機能推進機構秋田病院
副院長などを経て、2020年から現職。

 秋田県能代市にある秋田病院は、新型コロナウイルス感染症患者の受け入れ体制の構築やワクチン接種などに迅速に取り組み、地域をけん引してきた。2020年4月、院長に就任した大塚博徳氏は、同院の存在意義を地域に示すことを常に意識しながら対応に当たってきた。


―これまでの経緯は。

 当院は以前から医師不足の問題を抱え、かつ2019年に厚生労働省が公表した「再検証要請対象医療機関」に含まれました。院長就任に際し、これらの課題をいかに乗り越えようかと考えていたところ、全国に緊急事態宣言が発令されました。

 秋田県でも病床確保などの準備が進められ、当院も感染者が増えた場合は協力してほしいと要請を受けました。他の病院が調整に苦慮する中、私は当院の存在意義を地域に示すことができる機会と捉え、3病棟のうち一つを専用病棟にする事前計画を立てました。

 実際に患者さんを受け入れたのは、地域でクラスターが発生した20年12月末のことでした。県の警戒基準では、まだ受け入れを開始するフェーズではありませんでしたが、保健所の依頼に応じて3日間で準備を完了させました。職員たちの迅速な対応には私も驚きましたし、県や市からも感謝されました。現在もコロナ重点医療機関として専用病棟を設けており、医療圏の枠を越えて中等症Ⅱ以下の患者さんを受け入れています。

 コロナワクチンの接種に関しては、県内で唯一の先行接種病院に指定され、21年2月に1回目の接種を開始。その経験を生かし、集団接種会場には医師と看護師の医療チームを派遣することで協力してきました。


―苦慮したことは。それをどう乗り越えてきたか。 

 21年1月3日、クラスターが発生していた地域に住む当院の看護師1人と、その濃厚接触者1人の陽性が判明しました。急いで検査を拡大したところ、それ以上の感染者はいませんでした。保健所も院内感染ではないと判断しましたが、私は職員たちが不安を抱く可能性や、情報不足によって過度に詮索されたり、誤った情報が出回ったりすることを危惧しました。まずは同月5日に全職員を集めて説明することを決めました。

 当日朝、私は院内だけでなく、対外的にも公表すべきだと考えを改めました。地域の皆さんにも事実を伝えることで、職員たちを根拠のないうわさや誹謗(ひぼう)中傷から守ろうと思ったのです。県内では前例がなかったので、本当に公表しても大丈夫かどうか、かなり悩んだ末の結論でした。院内の関係者会議で賛同を得てからプレスリリースを作成し、同時に能代市長へアプローチしました。

 翌6日の朝刊には、当院に関する記事の隣に「医療従事者への誹謗中傷は絶対に行わないように」という趣旨の市長のメッセージが掲載されました。おかげで当院へのクレームは一切なく、反対に応援の声が数多く届き、結果的に良い対応ができたと思っています。


―今後の展望は。

 当院には地域のために頑張りたいという職員がそろっており、コロナ対応も本当に頑張ってくれています。専用病棟の看護師たちは困難に直面しながらも「大変な方がやりがいはある」と言っており、モチベーションの高さに感服しています。院長としては今後も職員の意欲をくみ取り、楽しくやりがいを持って働ける環境をつくることが一番重要だと思っています。

 病院全体の指針としては、引き続き地域における当院の存在意義はどこにあるのかを常に考え、自分たちの特徴を外に発信する必要があります。一連のコロナへの対応で一定の手応えはありましたが、今後はアフターコロナの施策も見据えなければいけない。病病連携の強化などを通して、今まで以上に当院の強みをアピールしていきます。

独立行政法人地域医療機能推進機構 秋田病院
秋田県能代市緑町5―22
☎0185―52―3271(代表)
https://akita.jcho.go.jp/

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