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赤字経営から独自の事業展開でV字回復

赤字経営から独自の事業展開でV字回復


院長(ふくだ・しゅういち)

1986年久留米大学医学部卒業。
佐賀社会保険病院(現:佐賀中部病院)外科、
済生会二日市病院外科、福田病院副院長などを経て、
2016年から現職。

 療養型、地域包括ケア病棟を含め、計113床を有し、介護老人保健施設やグループホームなど複数の関連施設を持つ福田病院。2020年に開設50年という節目を前に、着任から経常利益の低迷や債務超過を乗り越えた福田秀一院長に、経営健全化の具体的な取り組みについて話を聞いた。

―これまでの病院経営について教えてください。

 父が開設した福田病院に私が副院長として就任したのは、2006年のことです。当時、病院の経常利益は安定していたのですが、医師や看護師の数が少なく、カルテも手書きでかなり非効率な職場環境にありました。そこでスタッフを増員して、電子カルテを導入。その勢いで他にも100を超える業務改革に投資したところ2007年、1億7000万円の赤字に転落してしまいました。

 病院経営はそう難しくないだろうと考えていたのですが、この頃にはさすがに胃が痛くなることもしばしば。そこで2009年に知人の紹介で福岡県中小企業家同友会に入会することにしたのです。

 経営理念である「私たちはいつも、心の声に耳を傾けます」とともに基本方針を見直し、事業展開について勉強を重ねたことで、2011年ごろには黒字に復帰。しかし、診療報酬の改定や増税に伴い、すぐ赤字に逆戻りをしてしまい、結局は薄氷の上を歩いているような状況が続きました。

―経営の立て直しはどのように進めたのでしょうか。

 手始めに「呼び水型事業展開」としてドクターヘリを積極的に活用する救急医療に力を入れました。病院の駐車場をドクターヘリのランデブーポイントとして開放(呼び水)。救急隊が駆け付けるまでの数分は、当院で応急処置できる体制を整えました。

 これによってドクターヘリの受け入れとともに、病院への救急搬送台数も、年間にして約50件増加させることができています。

 救急医療対応の認識が高まったことで、近隣の大病院で受け入れできない救急搬送も当院で引き受けるようにもなりました。これは「コバンザメ型事業展開」と呼んでいます。

 ほかにも患者さんから病院に対しての意見を募集する投書箱や職員の要望を集める「F!ポスト」の設置、各部署による自主的・自発的な質(業務プロセス)の改善をする「TQM(Total Quality Management)」の実施、地域のボランティア活動など、病院、患者さん、スタッフのあらゆる視点から業務改善を試みています。

―人材育成について教えてください。

 事業展開と並行してスタッフには当院での仕事にやりがいを持って働いてもらうために6年前から職能等級制度を取り入れました。1~7等級までスタッフ約300人に適正な等級をつけ、これを給与に反映しています。年に2回の等級判定会議で昇級すると、グループワークを実施し等級ごとに求められる役割についてフォローアップをしています。

 また賞与については5段階評価の人事考課と連動させています。職員は自分のスキルを上げて行動規範も高めていくと、給与も賞与も高くなる。それがおのずと病院をより発展させることにつながっていると考えます。

―病院の将来像は。

 私の夢は病院を新しく建て替えることです。そのためには融資を受ける必要があると感じて、これまで業務改善に取り組んできました。一時は債務超過がありましたが、2016年には乗り越えることができ、いよいよ具体的な青写真も描けるようになってきました。

 2020年には50年、2025年には新病院建設を目指しています。地域と患者さんとスタッフに求められるような病院づくりをこれからも続けていきます。

医療法人福田病院
福岡県大川市向島1717―3
☎0944―87―5757(代表)
http://www.fukuda-hp.net/

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