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責任感と誠実さ 変化を恐れず前へ進む

責任感と誠実さ 変化を恐れず前へ進む


病院長(しまずい・とおる)
1982年筑波大学医学専門学群卒業。
筑波大学医学医療系教授、茨城県立中央病院・茨城地域がんセンター副病院長などを経て、
2020年から現職。

 茨城県の県央、県北部の地域医療の要として、高度ながん診療を中心にした医療を提供する茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンター。島居徹病院長は「医療人材が集まる魅力ある病院づくりに努める」と意欲を語る。

がんを中心に高度な医療を提供

 茨城県立の3病院のうちで唯一の総合病院。1995年から、県内4カ所の病院に分散して設置された「地域がんセンター」の一つとなった。原則として各都道府県に一カ所設置されている「都道府県がん診療連携拠点病院」の指定も受けている。

 医師数は約135人。36の診療科を掲げ、救急搬送は年5000件近くを受け入れる。産科医不足のため一時休止していた産科診療は、2015年に再開。年約200件の分娩を扱う。

 「全診療科で『死角のない医療』の提供を進めています。中でも、がん診療はメインの一つ。県民に信頼される病院として、新しい技術や人材を採用し、今後も高度な医療に挑戦します」

がん転移の仕組みを研究

 島居病院長は泌尿器のがん治療を専門にしてきた。公・民さまざまな病院で臨床に当たりながら、筑波大学に所属し、泌尿器科領域の基礎研究を続けた。「臨床と研究を両立させるよう、努めてきました」

 1994年から2年間は、オランダの大学に留学して研究に没頭した。そのときのテーマは、簡潔に言うと「腎臓がんの転移の仕組み」。転移の最初のステップとして、がん細胞はばらばらになる。その際の分子(タンパク質)の変化を調べ、「がん細胞同士をくっつけている分子」を見つけるというものだ。現地の研究者たちと共同研究の末、その分子を同定した。

 忙しくも、熱い日々。実を結んだときの充実感。「若い臨床医たちにも『自分が新しい医学を開発するんだ』との気構えで、研究にも携わってほしい」と語る。

 自身が駆け出しだった時代と異なり、研修制度の整った今、研修医の知識や技術は底上げされ、「優秀な若手が増えた」と実感する。その上で、「誰かが見つけてくれた常識や治療法を、受け売りだけでなく、『自分の手で開発できるかもしれない』という経験もしてほしい」と願っている。

 どんな専門を身に付け、どのような地域で、どういうキャリアを積みたいのか。「それらをなるべく早い時期に考え、研修プログラム以外のことに自ら取り組み始められるといいですね」。医師という仕事のやりがいを、後進にもより深く感じてもらいたい。そんな思いが言葉ににじむ。

人材が集まる病院づくりを

 臨床と研究―意欲ある医療者が両立できる環境を整える。それが、人材の集まる、魅力ある職場づくりの一助になると考える。試みは、すでに動き出した。日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)の関連共同研究への参加を徐々に加速。その実績を企業治験の増加にもつなげたい考えだ。

 日々の臨床では何より、患者とのコミュニケーションを重んじる。患者や家族からのさまざまな疑問や訴えを真摯に受け止め、答えを返す。不安や要望を丁寧に引き出し、「患者主導」で治療を進める。「責任感と誠実さ。当たり前のようですが、これが何より大事です」

 医療技術の進展が特に速いとされる泌尿器科に身を置いてきた島居病院長。腹腔鏡、ロボットなど、次々と現れる新技術は原則、積極的に取り入れてきたという。

 「何事も『変える』ことは、リスクを伴います。しかし、医学の世界では、何も変えないまま進む弊害の方が大きいと思っています」。病院長として描く、より良い病院づくり。過去にとらわれず、変わることを恐れず、前へ進む。

茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンター
茨城県笠間市鯉淵6528 ☎️0296-77-1121(代表)
https://www.hospital.pref.ibaraki.jp/chuo/

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