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負担軽減と質の向上を目指すRPA導入で業務時間削減へ

負担軽減と質の向上を目指すRPA導入で業務時間削減へ

地方独立行政法人 奈良県立病院機構 奈良県総合医療センター
院長(きくち・えいりょう)

1981年奈良県立医科大学卒業。同第3内科、同講師などを経て、
2001年奈良県立奈良病院(現:奈良県総合医療センター)入職、2015年から現職。

 2018年5月に新築移転。救急・周産期・がん医療と、小児・糖尿病・精神・災害医療の七つを柱に、奈良県の医療の一翼を担っている。RPA(ロボットによる業務自動化)導入を皮切りに、情報システム改新にも着手した。

―移転して1年半。現状は。

 第一の柱として注力してきたのが救急医療。昨年度の救急搬送数は前年比1割増の5598件。今年は6000件を突破しそうです。応需率は約94%。改善の余地はまだ残っているのではないかと考えています。

 手術数は2割増の約5000件。ロボット手術など高度な手術が増えています。

 病床稼働率は現在96・8%。在院患者数は一日平均411人。在院日数は一般病棟で11日を切る程度となっています。

 もともと50%台と低かった紹介率は、74%まで増加。目下の目標は80%です。

 410床だった稼働病床は、460床に増えました。人材の確保を進め、将来的には許可病床540床の稼働を目指します。

―見えてきた課題は。

 たくさんあります。まずは、人員不足にどう対応するか。人材確保に努めるのと同時に、医療スタッフの負担を減らすことも考えなければなりません。

 そこで今年、「働き方改革実行プロジェクト委員会」を設置。推進しているのがタスクシフティングです。事務系のほか、看護では特定行為や診療看護師を重用しています。

 次に、医師の交代制勤務の導入。集中治療室や産婦人科で変則的に行っています。さらに、複数主治医制。同時に連続勤務の解消も段階的に進めています。そして出退勤管理システムづくり。6月に事務、7月にメディカルスタッフ、8月にドクターに導入しました。超過勤務管理なども手を加えていく予定です。

 二つ目の課題は、医療の質の向上です。その一環として第三者評価を取ろうと、移転後すぐにISO9001取得に向けて動き出しました。多忙な時期に「なぜ今なのか」という議論もありましたが「今だからこそやるんだ」と。文書管理方法を見直したり、内部監査員を120人ほど養成したりと、取り組む中で肯定的なムードが醸成されてきたように思います。

 無事4月に認定を受けることができました。大事なのはこれから。来週には更新のための維持審査を受けますし、継続して意識向上に努めたいですね。

 三つ目の課題は教育、人材育成です。若い人が増えた結果、初期研修医が32人、専攻医が33人と、5年目以下のドクターが3割以上となりました。今年新規採用した看護師も100人います。この人材をしっかり教育し、キャリアアップにつなげたい。

―RPAによる業務の自動化に取り組んでいます。効果と展望を。

 病院は書類やデータの山。処理には相当な時間がかかります。そこで120業務のうち、自動化に移行しやすく削減効果の高い7項目を選定し、検証を開始。

 事務部のがん予後調査報告や看護部のデータベース入力、輸血部や臨床工学技術部の業務などで取り入れました。

 結果、がん予後調査報告業務での年間240時間をはじめ、部門ごとに年間50時間以上もの削減効果があることが分かった。計約980時間の削減です。

 そこで10月に本格導入を決定。自動化に移行できる業務を洗い直して、拡大していきたいですね。削減できた時間を何に使うかが肝心ですので、しっかり検討したいと思います。

 RPAは普及しつつありますが、医療での導入はまだ多くはない。これを皮切りに、通信機能やAIを絡ませて発展させることも期待できるでしょう。新しいことを、常に実践できればいいですね。


奈良市七条西町2─897─5
☎0742─46─6001(代表)
http://www.nara-hp.jp/

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