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豪雨災害でのDMAT拠点 防災、診療面の充実を図る

豪雨災害でのDMAT拠点 防災、診療面の充実を図る

独立行政法人労働者健康安全機構 熊本労災病院
猪股 裕紀洋 院長(いのまた・ゆきひろ)

1977年京都大学医学部卒業。
同大学院助教授、熊本大学生命科学研究部小児外科学・移植外科学分野教授、
同大学医学部附属病院(現:熊本大学病院)病院長などを経て、2017年から現職。

 新型コロナウイルス感染症(COVID―19)拡大に加え、令和2年7月豪雨災害にも見舞われた熊本県。ダブルの苦境に際し、同県八代市にある熊本労災病院はどのような教訓を得て、今後の病院運営にどう生かしていくのか。猪股裕紀洋院長に話を聞いた。

─新型コロナと豪雨災害が重なりました。

 新型コロナの第1波は、当院のある八代市に直接の大きな影響はありませんでした。7月以降に県内でクラスターが発生し、市内でも陽性者が確認され始めました。当院は感染症指定医療機関ではないのですが、県内の他地域で多発し、その圏域内での医療機関のキャパシティーが不足し、県の調整のもとで患者さんを受け入れることになりました。

 もともと小児や妊婦さんは受ける約束になっており、実際に小児は陽性患者を受け入れました。シミュレーションで3段階に分けたフェーズのうち、2段階目まで対応病棟を広げての対応です。ただ、今回の新型コロナに際し、熊本県全体の対応は結果的にうまくいった印象を持っています。

 豪雨災害は病院自体に問題はありませんでしたが、被災した職員が多くいました。特殊だったのは、災害拠点病院として被災地に近く無傷な病院という理由でDMAT(災害派遣医療チーム)の集積拠点になったことです。延べ60隊ほどが全国から来て、通信設備や物理的なキャパシティーの増強などが課題に挙がりました。この貴重な経験を、今後に生かしていきたいと考えています。

 また災害拠点病院としては、緊急時に使用する自家発電装置が水路の横の室内に置いてある無防備な状態でした。水を避ける設備も整っていなかったため急ぎ、止水板を設けて保護する工事にも着手しました。

─今後の病院運営は。

 独立行政法人労働者健康安全機構の設立理念は「勤労者医療」です。ただ、今は労災が多かった時期と比べると、狭義での勤労者医療は決して多くありません。そのような状況下で重視しているのは、治療と就労の両立支援や産業医活動、リハビリなどです。また、眼科は医師が1人増員となり、耳鼻科なども含めて体制が充実してきました。

 一方、地域に対してそのような機能が周知できていない現状もあります。労災病院が幅広い診療活動をしていることを知っていただき、地域での診療機能を高めていきたいと思っています。当院では救急医療も1次、2次、時には3次に近い患者も受け入れます。できれば熊本市に行かなくても、この地域だけで完結できる医療の幅を広げたいと思っています。

 ただ、特に今年は新型コロナの影響で、どこの病院も収支状況は厳しい。その中で、次年度に向けて機器整備などを進めるのは難しい局面でしょう。

 ─ご自身は「ベストドクター」に選出されました。

 実は何年か前から選ばれていたのですが、今回は院内で誰かの目に触れたらしくホームページに掲載されてしまいました(笑)。医師の互選ですし、正直自分自身がそう言われるのは恥ずかしいものがあります。ただ、少なくとも誰かの目にはとまったのかなと思い、それはありがたいことだと思っています。

 私自身は小児外科、移植外科というやや特殊な診療領域を歩んできました。小児外科で胆道閉鎖症という肝臓の先天的な病気を扱うことが年に数例あり、それに対応するため必然的に生体肝移植の領域に入りました。最初は小児だけが対象でしたが、大人の患者さんにもその技術を生かし、現在に至っています。

 正直今は第一線を離れているので、ベストドクターというのは面はゆい部分があります。ただ、これまで経験してきた専門診療をベースにしつつ、今の管理的な業務に生かすテコにしていきたいと思っています。

独立行政法人労働者健康安全機構 熊本労災病院
熊本県八代市竹原町1670
☎0965─33─4151(代表)
https://kumamotoh.johas.go.jp/

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