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豊富な症例で培われる高度な技術を伝えていく

豊富な症例で培われる高度な技術を伝えていく

福岡大学医学部外科学講座 呼吸器・乳腺内分泌・小児外科
主任教授(いわさき・あきのり)
1982年福岡大学医学部卒業。
国立病院九州がんセンター(現:国立病院機構九州がんセンター)、
米クリーブランドクリニック留学、
福岡大学医学部外科学講座呼吸器・乳腺内分泌・小児外科准教授などを経て、2008年から現職。

 2018年4月にロボット手術の保険適用範囲が拡大され、肺がんや縦隔腫瘍に対する手術も保険診療となった。医療技術や機器の進歩により術式が多様化する中、呼吸器外科医に求められるものは。福岡大学呼吸器・乳腺内分泌・小児外科の岩﨑昭憲主任教授に話を聞いた。

―教室の特徴と現状は。

 呼吸器・縦隔疾患および乳腺や甲状腺、小児外科に関する疾患の診療を行っています。約60人の医師が在籍しており、その4分の3が呼吸器外科医です。

 私の専門である呼吸器外科は、肺がん治療において着実に実績を重ねており、肺移植を行っているのも特色の一つです。

 呼吸器外科では、現在、年間約480症例の手術を行っており、近年はロボット手術も取り入れています。ロボット手術は、患者さんへの負荷を減らすことができますし、術者は良好な視野のもと、精度が高く細かな作業ができるので医師の負担も軽減できます。

 2018年から肺がんや縦隔腫瘍に対するロボット手術も保険適用になりましたので、今後、さらに増えてくるでしょう。

 ロボット手術を行うにはライセンスを取得する必要があります。その証明書(Certification)を発行できる施設は、これまで全国に5カ所しかありませんでしたが、2019年、呼吸器外科領域で九州で初めて福岡大学が認定。九州のロボット手術の発展に寄与できると思っています。

 また、拡大手術の評価も高く、九州一円の施設から、複雑で高度な手術を必要とする患者さんを受け入れています。

―これから必要とされる医師の育成について。

 呼吸器外科手術は、心臓に直接関与する重要な血管を扱いますので、常に大きなリスクを背負っています。特に難しい手術を成功させるには、高い技術力を持つ医師がチームとなって治療に当たる必要があります。

 幸いなことに当教室は、熟練した医師がそろっていますので、いざという時にもしっかり指導ができる体制で手術に臨んでいます。

 働き方改革の推進で、以前より勤務時間が限られますが、外科医はできる限り手術の経験を積むことが大切です。書類やサマリーを書くなどの煩雑な仕事は、医療秘書やICTなどでサポートし、医師が手術に没頭できるようにしたいと考えています。

 また、医局である程度経験を積んだ医師は、関連病院に出向し、マネジメントする力を養ってもらいたいと思っています。医局内にいると、つい先輩医師を頼ってしまいます。しかし、関連病院では自分がトップとなって判断し、責任を持って治療に当たらなければなりません。リーダーシップやマネジメント力も医師として必要な能力なのです。

 海外留学も推進しています。現代は多様性の時代です。留学先では技術を学ぶだけでなく、その国の社会の仕組みや考え方も学んできてほしいと話しています。広い視野を持つことが人としての幅を広げ、医師としての厚みを増し、患者さんへの信頼につながるのではないかと思います。

―今後の展望を教えてください。

 がん治療は、薬物治療や分子標的治療など、手術をしなくてよい効果的な治療法が増えています。

 しかし、このような治療の後に外科手術を行うのは、そう簡単ではありません。炎症を起こしていることも多く、より高度な技術が求められるようになっています。

 そのような場面においても、当教室はしっかりとした技術力を持って対応できるのではないかと思っています。また、福岡大学の呼吸器外科には全国から多くの医師が集まってくれています。その医師たちが満足感を得られる経験ができるよう、環境を整えるのも私の役割だと思っています。

福岡大学医学部外科学講座 呼吸器・乳腺内分泌・小児外科
福岡市城南区七隈7―45―1
☎092―801―1011(代表)
http://www.med.fukuoka-u.ac.jp/thoracic/

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