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豊富な手術実績と研究で地域医療に貢献していく

豊富な手術実績と研究で地域医療に貢献していく

愛知医科大学医学部 耳鼻咽喉科学講座
教授(うえだ・ひろみ)

1979年名古屋大学医学部卒業。
名古屋大学医学部附属病院助教授、名古屋第一赤十字病院第一耳鼻咽喉科部長などを経て、
2009年から現職。

 耳鼻咽喉科・頭頸部外科のあらゆる疾患に対し、手術を含めた豊富な治療実績を持つ愛知医科大学医学部耳鼻咽喉科学講座。植田広海教授の専門である「真珠腫・耳硬化症の手術法の改良」をはじめ、研究や臨床の現状について話を聞いた。

—医局の特徴は。

 耳・鼻・腫瘍の各グループに分かれ、それぞれに切磋琢磨しながら臨床・研究を続けています。

 耳科領域と頭頸部腫瘍領域の治療実績が豊富。耳科領域においては特に鼓室形成術で、多くの手術の実績があります。

 頭頸部腫瘍領域では、困難な手術が多く、場合によっては形成外科など、他科と協力しながら進めています。他科との連携を密にすることで、鼻の腫瘍などが目に浸潤している場合の手術、バセドー病における眼窩減圧術、頭蓋底の部分にある腫瘍の切除などが可能になっています。

 最近は肺がんの患者さんが増えています。肺がんによる反回神経麻痺(まひ)によって声帯がまひした患者さんの音声改善手術なども行っています。

 喉頭がんや下咽頭がんで声帯を切除せざるを得ない場合は、器官と食道をシャントでつなぐ方法がありますが、当科では感染のリスクを考えて、患者自身の力で発声する食道発声を勧めています。

—真珠腫・耳硬化症について長年研究されています。

 真珠腫とは、何らかの原因で皮膚組織が中耳内に入り込み、感染を起こして難聴や中耳炎を併発するといった病気です。

 真珠腫は再発の可能性がとても高く、特に後天性の場合、鼓膜の一部分がへこんだり、穴が空いて皮膚組織が中耳内に入り込み、炎症を起こします。この場合には、遺残を防ぎ、真珠腫が再発しないよう手術を行っていきます。

 耳硬化症は、外耳から内耳に振動を伝える耳小骨のうち、最後のアブミ骨周辺に新陳代謝の激しい骨ができてアブミ骨の可動性がなくなり、伝音難聴を起こす病気です。日本人には少ないといわれてきましたが、近年、検出率が高くなりました。

 伝音難聴はアブミ骨を摘出して人工のアブミ骨に置換することで、劇的に良くなる患者さんが多いですね。

 前任である名古屋大学が伝統的にこの手術を行っており、愛知医科大学に来てからもそれを継承しています。成功率は高いのですが、内耳障害を起こす患者さんもおり、いかにそれを食い止めて聴力改善を図るかが、手術において重要になってきます。

 アブミ骨自体が直径2〜3㍉なので、顕微鏡でないと操作ができません。中耳の聴力を改善するには気導と骨導の聴力の値をほぼ一致させる必要があります。内耳障害は骨導が低下する傾向にあるので、いかに気導だけを改善して、骨導が悪化しないようにするかを主眼にしています。

—「」で会長を務められました。

 パネルディスカッションでは「アクティブシニアライフ実現に向けた耳鼻咽喉科的アプローチ」というテーマで、愛知医科大学の内田育恵准教授など計5人が登壇。内田准教授は、中年以降の難聴が、実は認知症のリスク因子の一つではないかと研究を続けています。補聴器を使うことで、どの程度、認知症の予防ができるかなどを討論しました。

 この学会を通して、超高齢社会において、耳鼻咽喉科が果たせる役割は大きいことを実感しました。

 臨床や研究を受け継いでいくには、医局において技術を持った人材の確保が必要です。耳鼻咽喉科は内科的なことも外科的なこともできる、首から上のさまざまな疾患に対応できる科であることを、伝えていきたいと思います。

愛知医科大学医学部 耳鼻咽喉科学講座
愛知県長久手市岩作雁又1—1
☎0561—62—3311(代表)
https://www.aichi-med-u.ac.jp/su06/su0607/su060703/21.html

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