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診療役割分担で地域医療の効率化を

診療役割分担で地域医療の効率化を


理事長(おがわ・としこ)

1993年東京慈恵会医科大学医学部卒業。
同大学循環器内科医員、医療法人社団東山会調布東山病院内科医師などを経て、2009年から現職。
循環器専門医。

 調布東山病院は地域医療を担う急性期病院だ。救急医療と在宅医療に注力し、この地域を支えている。常に念頭にあるのは患者が「その人らしく」いられるようにすること。質の高い医療の提供を目指す小川聡子理事長に話を聞いた。

─病院の特色や強みは。

 「生活支援型急性期病院」として、救急医療や質の高い総合診療だけでなく、介護と一体となった地域包括的なサービスを提供しています。

 病院の機能分化が進み、急性期治療が終われば、リハビリや退院支援はその次の施設で、というように、患者さん側の意向とは関係なく、医療提供者側の都合で患者さんが病院を移動せざるを得ないことに違和感を感じていました。

 患者さんを診るということは、その人の人生の経過の一時期に関わるということです。この意識を持ち、患者さんの退院後の生活を想像して治療計画を立て、多職種で治療に取り組むのは意外と難しいことです。これがわれわれにとって当たり前になるように、日々努力しています。

 当院は30年ほど前から、在宅医療に取り組んできました。当初に比べると高齢化が進み、在宅医療の重要性が増しています。地域で在宅医療を根付かせるためには、小さな診療所でも在宅医療を行う必要性があると感じています。

 しかし、医師1人の診療所で在宅医療を始めるには、ある程度の勇気が必要です。学会期間や休暇中の訪問診療はどうするか、夜間にも起こりうる患者さんの変調に対応できるのか、不安だからです。そこで当院は在宅医療専門のチームをつくり、急な呼び出しなどは私たちが引き受けられるようになろうと考えています。患者さんからすれば、ずっと同じ先生が診てくれる安心感は大きいでしょう。

 私もそうでしたが、在宅医療を経験すると入院患者さんに対する治療マネジメントが変わります。これは医師、患者さん、どちらにとっても大きな意味があると思います。

 とは言え在宅医療は大変です。患者さんもご家族もご自宅に踏み込まれることをためらわれます。患者さん本人と家族の意向が異なる場合はどういう環境を整えたらご本人の願いをかなえられるのかなどを入院中にチームで考え、患者さんがこの地域で自分らしく生きられるようサポートしています。

─貴院を取り巻く地域の現状や地域連携について。

 調布市(人口約23万人)の高齢化率はおよそ22%、75歳以上の高齢者は増える一方です。これに対して対応できる供給源は全く足りていない状況です。

 当院のような地域に近い中小の急性期病院も、救急対応力を強化し、地域を支える必要があります。当院は2016年に2次救急指定病院となり、救急搬入患者数は年々増えており、常勤内科医や看護師の人数、検査体制も充実させました。

 また、当院は診療所の外来との違いを明確にしています。病状が安定している方は、積極的に近隣のクリニックへ逆紹介し、逆紹介先で専門的な診療・検査が必要になった場合は、絶対に断らずに当院が責任を持ってお受けしています。患者さんには「地域にかかりつけ医を2人持つ」という認識を持っていただくよう働きかけています。

 病態によっては、より専門性の高い病院をご紹介し、治療が終わったら当院で引き受けることもあります。こうしたやりとりの中で信頼関係を強め、地域医療が全体として効率よく機能するように連携を深めています。

─地域の中で目指す医療は。

 医療を通して、人生の最後まで誇りを持って生きる人であふれている地域をつくりたいですね。認知症であってもその人らしさが生かされている姿を子どもたちが見て、命や生きることを大事にする未来をつくっていけるように貢献していきたいと思っています。

医療法人社団東山会 調布東山病院
東京都調布市小島町2─32─17
☎042─481─5511(代表)
https://www.touzan.or.jp/

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