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診療も病院経営も常に全力で

診療も病院経営も常に全力で


院長(すずき・ひろまさ)
1985年横浜市立大学医学部卒業。国立横浜病院、
横須賀共済病院、JA神奈川厚生連相模原協同病院などを経て、2019年から現職。
横浜市立大学医学部臨床教授兼任。

 2019年から、国立病院機構横浜医療センターの院長として病院経営に取り組んでいる鈴木宏昌氏。「診療も病院経営も常に全力」と話す。これまで麻酔科医が不足する現場の立て直しに奔走してきた経験は、今どのように生かされているのか。

獣医師志望から医師へ

 「そもそも医師志望ではなかった」と話す鈴木院長。高校では獣医師を目指していたものの、獣医学部受験は不合格に。進学先に選んだのは、東京農工大学農学部だった。

 しかし、大学に入学してからも、進路への迷いを感じていた。「大学入学した翌年から、共通1次試験が開始されることになり、獣医学部も4年制から6年制になるなど、大学の制度が変更になったのです。そこで、もう一度、受験に挑戦しようと思い立ちました。しかも、同じ6年間学ぶのであれば、医学部に進みたいと思ったのです」

 医学部卒業後は、麻酔科を選んだ。「麻酔科医は、患者さんの状態を常に一定に保ちながら、執刀する外科医、その他のスタッフとコミュケーションをとり、手術を円滑に進めていく。手術に欠かせない、いわば〝調整役〟というところに魅力を感じました」

新研修制度発足で麻酔科医が不足

 キャリアを積む中で大きな出来事となったのが、2004年度に始まった「新医師臨床研修制度」だ。診療に従事しようとする医師は、2年以上、指定された病院で臨床研修を受けることが義務化されたのだ。これにより大学の入局者がいなくなり、しかも2年間は新人が来ないという非常事態になったのである。

 「困った大学側は、各病院から一斉に医師を引き上げてしまったのです。特に、麻酔科医は顕著でした。その結果、多くの病院で手術ができないという事態に陥ってしまったのです」

 手術ができることは、病院の利益に直結する。「麻酔科医がいないと外科医は手術ができません。手術ができないとなると、病院は積極的に患者さんを受け入れることができなくなってしまう。どこの病院も悪循環を起こしていました」

 鈴木院長は、それまでいくつかの病院の立て直しに貢献してきた。その手腕を買われ、麻酔科医が不足していた神奈川県内の病院に次々と赴任。「立て直しに取り組んで、分かったことがあります。それは麻酔科医がしっかりと対応できれば、外科医が安心して手術でき、経営的に好循環が生まれるということです」

 ある病院では、順調に手術が行えるようになったことが、黒字転換への大きな要因になったという。麻酔科医という存在が病院経営に与える大きさを、改めて知ったという。

日々、変化し続ける

 2009年、国立病院機構横浜医療センターへ。麻酔科医として手術の質を高めていったという。当時3000件弱だった手術件数は、今では6000件近くと、ほぼ倍の数となった。副院長となった2016年、手術室は若手の医師に任せる体制を取った。

 「副院長になったのは良いタイミングだったと思います。いつまでも古い人間がトップでいるより、進化するためには若い医師に任せたほうがいい。変化が大きい今の時代は、医療のあり方も、医師である私たちも、スピードを持って変わっていかなければならないと思います」

 今後は地域との連携もさらに強めていきたいと語る。「地域の開業医の先生との情報共有などを密に進めていきたいと思っています。当院が所有するドクターカーも、地域のために運用回数を増やしていきたいですね。地域医療支援病院としての役割を果たすための課題は、まだたくさんあります」

独立行政法人国立病院機構 横浜医療センター
横浜市戸塚区原宿3―60―2 ☎️045―851―2621(代表)
https://yokohama.hosp.go.jp/

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