九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

訪問診療所の管理運営開始 地域医療をさらに強化

訪問診療所の管理運営開始 地域医療をさらに強化


病院長(こしじ・たかあき)

1984年京都大学医学部卒業。
仏ラ・ティモンヌ病院留学、熊本中央病院心臓血管外科部長などを経て、
2009年から福井大学器官制御医学講座外科学2教授、2016年から同大学医学部附属病院長、
同大学副学長(医療担当)。

 2019年8月、福井大学医学部附属病院は、同院がある永平寺町で、町立在宅訪問診療所の管理運営を開始した。地域医療への関わりを強化する狙いとは。その指揮を執る福井大学医学部附属病院の腰地孝昭病院長にその思いを聞いた。

―訪問診療所の管理運営のきっかけは。

 県内市町村の在宅での死亡率を比較すると、永平寺町では、在宅死が少ないことが分かっています。医療機関以外で亡くなる方が増える傾向にある中で、それに反する結果でした。理由はいくつかありますが、永平寺町には大学病院との間を結ぶ医療機関や施設が少なく、訪問診療や看取(みと)りができていないことが考えられます。

 そこで3年ほど前から、行政や医師会と検討し、町立在宅訪問診療所を開設することになったのです。建物は大学病院の近くで、建設費は永平寺町が負担。管理運営は大学です。午前は外来診療、午後は訪問診療を実施。地域で不足する訪問診療に軸足を置いています。

 大学病院が訪問診療所の運営に関わるのは、地域の医療ニーズに応えることに加えて、「教育」面でのメリットがあるからです。当院は県内唯一の特定機能病院として高度急性期、急性期を核に運営しており、医学教育もそこに重点を置いています。しかし、地域の今後の医療を考えると回復期、慢性期の医療も重要です。訪問診療所は学生や研修医が、医学のあらゆる面を学ぶ場にもなると感じています。

―県医師会の副会長にも就任。地域医療への取り組みは。

 2019年6月に、県の医師会の副会長に就任しました。現職の国立大学附属病院の病院長が、県単位の要職に就くのは珍しいようです。同じく6月に着任した池端幸彦会長とは、「県内の医療機関の連携を進めていくには行政、医師会、基幹病院の協力が大切だ」と話しています。

 県内の医療課題の一つが、福井市への医師の偏在だと考えています。これを解決するためにも、大学病院を含む県内の四つの基幹病院の機能分化や連携が必要です。地域医療構想の実現のためにも不可欠ではないでしょうか。また実現には医師の働き方改革も考慮しなければなりません。月に1〜2回、県医師会執行部の皆さんと意見交換をし、これまで以上に論議を深めることができています。

 地域医療に対する大学としてのさまざまな新しい取り組みについては、厳しいご意見もお聞きします。しかし、何もしなければ変化は生まれません。医療界にもAIが普及しており、医療者を取り巻く環境は想像以上のスピードで変化していきます。その状況に対応するために、われわれも積極的に変わっていく必要があると考えています。

―今後の課題は。

 2014年に新病院が完成し、ハード面の整備は一段落しました。今後は機能面の充実を図りたいと考えています。現在の当院は入院・外来とも12年連続で診療実績が伸びていますが、できるだけ入院に特化し、外来患者さんは地域の診療所などに戻していく体制を強化したいと考えています。

 また、大学病院の強みを伸ばしていくことも大切です。例えば医工連携もその一つでしょう。本学で開発し救急部で活用する「クラウド型救急医療連携システム」は、2016年、モバイルコンピューティング推進コンソーシアムから総務大臣賞を受賞しました。

 「子どものこころの発達研究センター」による心と脳機能の画像診断による研究、医療安全の課題を解決するための麻酔ロボットの開発など、各分野で積極的に研究が進められ、頼もしく感じています。

 本学で働くことで教職員が将来に対する〝夢〟を描けるような組織づくりをすることも、私の大きな役割だと考えています。

福井大学医学部附属病院
福井県吉田郡永平寺町松岡下合月23―3
☎0776―61―3111(代表)
https://www.hosp.u-fukui.ac.jp/

この記事を読んだ方は他にこんな記事も読んでいます

最新の記事情報が取得できます

Twitter

「いいね!」ボタンを押すと、最新情報がすぐに確認できるようになります。

Instagram

フォローする」ボタンを押すと、最新情報がすぐにツイート上で確認できるようになります。

Instagram did not return a 200.

コメントはこちらから

[contact-form-7 404 "Not Found"]
メニューを閉じる