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見える「コロナ疲れ」 経営圧迫もリスケ・支援で持ちこたえ

今は融資で倒産回避

 新型コロナ(新型コロナウイルス感染症)が発生して11カ月。(世界的大流行)は収まらず、国内でも秋冬期に入り、患者増で第3波が懸念されている。この間、医療機関では「コロナ疲れ」が顕著になっている。独立行政法人福祉医療機構への優遇融資申込件数は9月末で1万5千件、申込総額は1兆円に迫っている。信用調査会社、帝国データバンクは「今は融資で倒産が回避されているが、今後に倒産急増が懸念される」と警鐘を鳴らしている。

「病院の経営状況は─」帝国データバンクに聞く

 コロナ患者の受け入れ、患者数の減少、院内感染・閉鎖、職員の疲弊・確保難、風評被害など医療経営に苦しむ「病院のコロナ疲れ」について、帝国データバンク東京支社情報部情報編集課長・阿部成伸氏に、病院の倒産動向(コロナ禍での経営ひっ迫、休廃業の動向)を聞いた。


ボーナス遅延・カットで従業員退職が相次ぐ

―コロナの感染拡大で、全国の病院の倒産動向、経営状況は。

 今年9月までの病院(病院経営事業者)の倒産(法的整理)は3件で負債総額は11億4500万円となっています。

 近年の動向を振り返ると、2017年(2件、負債総額87億円)、2018年(3件、同94億8900万円)、2019年(8件、同137億8700万円)と推移し、昨年は多かったものの、それ以前と比べると急増している傾向は見られません。

 また、今年9月までに発生している3件は新型コロナウイルスの影響を受けて倒産した「新型コロナウイルス関連倒産」ではありません。コロナ禍で経営が厳しいことが報じられてはいますが、倒産に至っている件数は極めて少ない状況といえます。

―昨年同期と比較し、給与・ボーナスに影響しているところはあるか。従業員が退職するなど人員確保の問題はあるか。
 地方における比較的大きな病院を中心に、コロナの影響で収益が減少し、夏のボーナスの遅延やカット、それが原因となって従業員の退職が続いた情報を相次いで耳にしました。


今後は効果薄れ、倒産急増懸念

―福祉医療機構などから、貸付を受けている医療機関の実態は。

 コロナを理由にリスケジュール(債務返済の繰り延べ、返済条件の変更)を要請したり、コロナ対策の融資など各種支援策を利用したりして必死に頑張っている病院は相当数存在していると思います。逆に利用していなければここまで倒産は低水準で推移しないでしょう。

 今はそうしたリスケや支援によって倒産件数が抑制されている状況が続いていますが、時間の経過とともにその効果は薄れ、倒産が急増する時期が来るかもしれません。

 さらに、その間に問題となるのは経営者の高齢化です。もともと後継者がおらず、高齢の院長が筆頭の病院は、理事長の死去や引退を機に倒産や廃業に踏み切る先が相次ぐかもしれません。


過疎化、深刻な高齢化で地方の経営が不安定に

―今後、どのような病院が倒産しそうなのか。逆にどんな病院は生き残れそうなのか。

 将来に向けた高齢化と人口動態(都市部への人口集中、地方都市の消滅)を考慮すると、今後、過疎化や深刻な高齢化が予想される地方に拠点を構える病院の経営が一番不安定になると思います。

 一方、地方でも将来、人口が増加すると予想されている地域(沖縄、静岡など)ですと、逆に安定する病院が増えるでしょう。

 また、これから少子化が進めば、その分、医師になる人数も減ります。医師になる(のを目指す)多くの方は、都市部の病院に勤務することを望んでいることを前提とすれば、やはり地方の病院は衰退する一方です。

 今後は展開する地域の将来に向けた動向(過疎化、高齢化)のほか、医師、看護師などに対するケア(給与やその他待遇面)にも力を入れないと、いつ人材を失ってしまうかわかりません。特にワンマン経営者のいる病院は淘汰(とうた)されやすくなると思います。


優遇融資申し込み1万5千件、総額1兆円に迫る
福祉医療機構

 独立行政法人福祉医療機構は2020年3月から新型コロナウイルス感染症により、減収・事業停止などの影響を受けた全国の医療関係施設などに優遇融資を実施してきたが、9月末現在で貸付申込件数は1万4444件、貸付申込総額は9252億円に達した。

 9月15日の融資拡充では「前年同月と比較して、医業収益が30%以上減少した月が1カ月以上ある医療機関」が対象で、貸し付け限度額の引き上げ(病院
10億円)、無利子枠の上限の引き上げ(病院2億円)、無担保枠の上限の引き上げ(病院6億円)を行った。担当の事業統括課では「病院の経営はやはり、春が厳しかった。今は融資などで何とかやりくりされているのだと思う」と話している。

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