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若手麻酔科医を育成し地域偏在の解消へ

若手麻酔科医を育成し地域偏在の解消へ

麻酔生体管理学教室
准教授(しらさか・てつろう)

1992年宮崎医科大学医学部(現:宮崎大学医学部)卒業。2001年同大学院卒業。
2010年から現職。2015〜2017年宮崎大学医学部附属病院麻酔科医局長、
2018年から同ME機器センター長兼任。

 医療技術、機器の進歩や高齢化で手術件数はますます増加。医療が多様化する中、麻酔科医の人員確保は急務だ。医師の中央偏在で過疎地域への医療提供などの課題も抱える宮崎県の現状と課題は。宮崎大学医学部麻酔生体管理学教室の白阪哲朗准教授に話を聞いた。

—教室の特徴、現状は。

 手術中の麻酔の他、集中治療室、ペインクリニック、緩和ケアなど、麻酔のニーズは多様化しています。麻酔生体管理学教室でも、麻酔を中心に、幅広い業務を担当しています。
 
 近年は宮崎県にドクターヘリが配備され、山間部など過疎地域からの救急搬送もかなり増加しています。

 全国的には、麻酔科医は少しずつ増えていますが、本県ではまだまだといった状況です。医局でも、麻酔担当だけでは手が足りず、ペイン担当の医師にもサポートしてもらうなど連携を密にしています。それでも絶対的なマンパワー不足は、否めません。

 県央部以外は人員不足の状況がさらに顕著です。特に、県北、県南地域の麻酔科医不足には頭を悩ませています。年々手術件数が増えている県北の県立延岡病院にはほぼ毎日、県南の県立日南病院には週に2日、非常勤医師を派遣するようにしています。

 また、県内外の約30の医療機関にも随時常勤医などを派遣。地域医療を支えていくためにも、若い医師たちの育成に、今後も力を入れていくつもりです。

—若手医師の育成、確保の取り組みは。

 学生を積極的に手術の現場に参加させ、麻酔の導入から終了までを指導する取り組みを、数年前から恒吉勇男教授が行っています。手技や循環、呼吸管理などの全身管理を直接見学できる機会はなかなかないので、良い刺激になっているようです。

 研修医の中でも、外科系を目指す人は技術への関心が高い。マスク換気や末梢静脈路確保、脊髄くも膜下麻酔、気管挿管などの指導を麻酔科専門医のもとで行っています。長い医師人生、基本手技の習得は一生の財産になるはずです。さらに研究、学術的な興味を持ち続けるよう、学会にも参加するように勧めています。

—新たな育成プログラムも導入予定ですね。

 麻酔科専門医の育成プログラムの中で、九州内の大学病院や規模が大きい基幹病院と連携し、後期臨床研修を受け入れるシステムづくりを進めています。

 若い医師たちはどうしても大きな都市に集まりがちです。厚労省でも、医師の都市圏偏在を防ごうと、都市部の麻酔科専門医研修に人数制限を設けようとしています。

 そこで、人員不足かつ人数制限のない当大学が受け皿となって若い医師を育てていこうと取り組みを始めています。専門技術をより効率よく確実に修得できるプログラムを考えていきたいと思っています。

—今後の課題は。

 ハイブリッド手術室の増設により、経カテーテル大動脈弁置換術の症例も増えました。また、手術支援ロボット「ダビンチ」の運用も2019年10月に開始しました。

 ロボット手術では、患者さんの体位にかなり角度がつき、大きな負担がかかることが予想されます。麻酔科医としては、脳圧や眼圧の変化にも気を配りながら、より慎重に業務を行わなければならないでしょう。

 麻酔科医は手術を行うのに欠かせない役割があるだけではなく、今は集中治療室や緩和ケア、ペインクリニックなど、必要とされる現場が多様化しています。超音波を使った神経ブロック麻酔など最新技術も導入され、内容も奥深いものになっています。学生や研修医に、少しでも興味を持ってもらえるよう、今後も努力していきたいと思います。

宮崎大学医学部 麻酔生体管理学教室
宮崎市清武町木原5200
☎0985—85—1510(代表)
http://www.med.miyazaki-u.ac.jp/home/masui/

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