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若手を支援し「人が育つ」教室へ

若手を支援し「人が育つ」教室へ

徳島大学大学院医歯薬学研究部 産科婦人科学分野
岩佐 武 教授(いわさ・たけし)

2002年徳島大学医学部卒業。同大学病院地域産婦人科診療部特任助教、
米カリフォルニア大学バークレー校、徳島大学病院地域産婦人科診療部特任准教授、
同周産母子センター講師などを経て、2020年から現職。

 技術的な進歩が早い生殖医療に取り組む中で、患者への思い、研究に対する熱意を若手に伝えていきたいと語る岩佐武教授。就任の抱負に掲げた「人が育つ」教室づくりについて語った。

生殖内分泌研究の道へ

 入局2年目の大学院博士課程入学を機に、研究活動をスタート。テーマは「栄養代謝・ストレス制御機構と生殖機能の相互作用の解明」。臨床の傍ら、一貫して生殖内分泌に関する研究を続けてきた。「痩せやストレスが原因で生殖機能が低下するメカニズムの解明、生殖機能が食欲やストレス反応に及ぼす影響を明らかにすることを追求してきました」。研究によって、これらの相互作用に脳の視床下部が深く関わっていること、バランスが崩れることで複数の疾患の発症リスクが高まることを解明。また、低栄養の母体から生まれた子どもは視床下部機能が変化し、疾患発症リスクが高まることも明らかになった。

 「基礎研究なので、人において同様の結果が得られるかはまだ分かりません。しかし、研究を通じて病態をより深く、多方面から考える力や疾患に関して多くの情報を収集し、それを正確に理解する力が養われたことは間違いありません」

 その後、研究留学のため渡米。「年齢にかかわらず研究を楽しむ姿勢が特に印象的でした。研究とは本来、自分で考えて進めていく楽しい行為であることを、再認識できました」

生殖医療の進化と課題

 現在は体外受精、顕微授精を含む不妊治療に取り組んでいる。生殖機能が低下するリスクの高いがん患者に対して精子や卵子・受精卵を凍結保存しておく方法(がん生殖)や、合併症を有する患者に対して妊娠前に病状を安定させてベストな状態で妊娠を試みる治療法(プレコンセプションケア)に力を注ぐ。

 「生殖医療は技術の進歩が早い領域の一つで、治療成績は十数年前に比べると格段に向上しています。一方で医師側のモラルが問われる機会が多くあります。どこまで治療を続けていくのか、患者さんの心情に配慮し、丁寧に接する基本的な姿勢は忘れないよう心掛けています」

「人が育つ」教室づくり

 就任に当たり、「人が育つ」教室づくりを第一の目標に掲げた。「ここでいう『人』には、私を含め、あらゆる立場・世代の教室員が含まれます。簡単な目標ではありませんが、この追求こそが医療の質の向上につながると信じています」

 若手の頃に、先輩から「自分たちの持っている技術や知識をすべて吸収した上で、その一歩先を行くのが若手の役目だ」と言われたことが、今でも印象に残っているという。「臨床・研究を問わず、より多くのことに積極的にチャレンジする気持ちを持ってほしい。基本的なことを一つ一つ積み重ねる姿勢、患者やその家族が求めていることは何かを問い続ける姿勢を持つことの大切さを伝えていきたいと思います」

 静岡県浜松市出身。幼い頃から生き物が好きで、その探究心が医師の道へとつながった。大学院で研究に打ち込んでいた時、多くの人が常に若い世代をサポートしてくれたこと、折に触れ進むべき方向性を示してくれたことで、さまざまな経験を積むことができた。「徳島大学とその関連施設には、経験豊かで技術・人格ともに素晴らしい先生が多くいらっしゃいます。各施設としっかり連携をしながら、若手医師を系統的に教育する体制を整えたいと考えています」

 リラックスする時間も、若手との関わりを忘れない。「後輩から取り組んでいる研究の話を聞いたり、雑談したりするのが自分にとっての息抜きですね」

徳島大学大学院医歯薬学研究部 産科婦人科学分野
徳島市蔵本町3ー18ー5 ☎️088ー631ー3111(代表)
http://www.tokudai-sanfujinka.jp/Total/

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